攻め合い

攻め合いとは

囲碁における「攻め合い」とは、眼のない石同士が接触し、互いに相手の石を取ろうとする状態を指します。具体的には、白と黒の石が隣接し、それぞれの石に眼（いき）がない状態を想像してください。この時、どちらかの石が先にダメ（呼吸点）を詰め切ると、相手の石を盤上から取り除くことができます。

例えば、以下のような状況を考えてみましょう。


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│ ● ○ ● │
│ ○ ▲ ▲ ○ │
│ ● ○ ● │
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図では、▲印の付いた黒石同士が眼を持たず、互いに攻め合っている状態です。もし黒番であれば、黒は1,3,5と順にダメを詰めることで、白石を取り上げ、黒石を助けることができます。このように、ダメの数が同数で、一手違いで勝敗が決まる状態を「一手勝ち」と言います。

ダメの種類

攻め合いにおいて、ダメには「外ダメ」と「内ダメ」の2種類があります。

外ダメ: 攻め合っている石の外側にあるダメ
内ダメ: 攻め合っている石の内側にあるダメ

内ダメは双方にとって共通のダメであり、先に詰めてしまうと自分の石を不利にしてしまうため、攻め合いではまず外ダメを詰めるのが基本です。

以下に、その例を示します。


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│ ○ ● ○ ○ │ │ ○ ● ○ ○ │
│ ● ○ ● │ │ ● ○ ● │
│ ○ ○ ● a │ │ ○ ○ ● ● │
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(左図) (右図)


左図で黒1と内側のダメ（a）を先に詰めると、白4まで進んで白の勝ちになります。しかし右図のように黒1と外側から攻めると、黒5まで進んで黒が勝ちとなります。

攻め合いの手筋

攻め合いでは、以下のような手筋を駆使することで、有利に展開できます。

捨て石の利用

単純にダメを詰めていくと一手負けてしまう場面でも、捨て石を利用することで、手数を早く詰めることが可能になります。

例えば、以下の図で白の手番の場合、工夫なくダメを詰めていくと黒に一手負けてしまいます。


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│ ○ ● ○ │
│ ○ ● ○ │
│ ○ ● ● │
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しかし、白は以下のようにホウリコミの手筋を使うことで、逆転の一手勝ちとなります。


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│ ○ ● ○ │ │ ○ ● ○ │
│ ○1 ● ○ │ → │ ○ ●2○ │
│ ○ ● ● │ │ ○ ● ● │
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│ ○3○ ○ │ │ ○ ○○ │
│ ○ ● ○ │ → │ ○ ● ○ │
│ ○ ● ● │ │ ○ ● ● │
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隅の特殊性の利用

隅は、他の場所とは異なり、特殊な状況が発生しやすい場所です。例えば、以下の図のような状況を考えてみましょう。


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│ △ ○ │ │ △ ○ │
│ ○ ● ○ ● │ │ ○ ● ○ ● │
│ △ ● │ │ 1 △ ● │
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(左図) (右図)


左図では、△印の石同士が攻め合いの状態です。普通に考えると黒2手、白3手なので白が有利に見えます。しかし、右図のように黒1とサガるのが好手で、白2・黒3と詰め合った時、白はa,bいずれも打つとすぐに取られてしまうため、黒が勝ちとなります。

攻め合いと眼

眼あり眼なし

攻め合いにおいて、眼の有無は勝敗を大きく左右します。

例えば、以下の図を見てください。


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│ ○ ○ ○ ○ │
│ ● ● ● ○ │
│ ● ● ● ●a │
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単純に数えると、白は4手、黒は5手なので黒が勝ちに見えます。しかし、白はaの点に眼があり、これが強みとなります。黒からダメを詰めていくと、隅のaには入れないので黒3と詰めるよりありませんが、これは自分のダメを詰めることになります。白4と詰められ、黒からbに入ると先に取られてしまうので、黒は攻め合いに負けてしまいます。

このように、攻め合いで一方に眼があり、内ダメがある状態だと、眼のある側が非常に有利になります。これを「眼あり眼なし」と称します。

眼があっても有利にならないケース

内ダメがない場合は眼があっても特に有利ではなく、単純な詰め合いで決まることになります。


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│ ○ ○ ● │
│ ● ● ● ○ │
│ ○ ○ ● │
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両者に眼がある場合

両者に眼があり、内ダメが多い場合には、セキになる可能性が高くなります。


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│ ○ ● ○ ● │
│ ● ○ ● ○ │
│ ○ ● ○ ● │
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この図のような場合、1～4とダメを詰め合ったところで両者手出しができず、セキとなります。

攻め合いとナカデ

ナカデをして攻め合いに持ち込む場合、手数の数え方に注意する必要があります。例えば、以下の図で黒1と置いて攻め合いに持ち込むケースを考えます。


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│ ○ ○ │ │ 1○ ○ │
│ ○ ○ ○ │ → │ ○ ○ ○ │
│ ○ ● │ │ ○ ● │
╷╌╌╌╌╌╌╌╌╷ ╷╌╌╌╌╌╌╌╌╷

╷╌╌╌╌╌╌╌╌╷ ╷╌╌╌╌╌╌╌╌╷
│ 3○ ○ │ │ 5 ○ ○ │
│ ○ ○4○ │ → │ ○ ○ ○ │
│ ○ ● │ │ ○ ● │
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│ 7 ○ ○ │
│ ○ ○ ○ │
│ ○9 ● │
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黒の外ダメは5手です。ダメを詰め合い、黒5となったところでアタリなので白6といったん抜きます。再び黒7にナカデし、黒9と詰めて一手勝ちとなります。つまり四目ナカデの手数は、ナカデする手も含めて5手あることになります。

同様に、三目ナカデは3手、五目ナカデは8手、六目ナカデは12手かかります。まとめて、「三・3、四・5、五・8、六・12」と覚えると便利です。

攻め取り

攻め合いの形になることで、相手に損を強いるケースがあります。


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│ ○ ○ │
│ ● △ ● │
│ ● ● a b│
╷╌╌╌╌╌╌╌╌╷


図の状態で、△の白石はこのまま取られています。しかし、白からaの点にキリが入ると攻め合いの形になるため、いずれ黒はbに手を入れ、この石を打ち上げなければなりません。これは、自分の地に3手入れることになるため、3目の損となります。このように、ダメを詰めて取らなければならない状態を「攻め取り」と称します。

参考図書

河野臨『攻め合い力養成トレーニング（マイコミ囲碁ブックス）』
小林覚『攻め合いの手筋　初段・二段・三段』成美堂出版
* 『三段突破の攻合』誠文堂新光社

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