救命講習

救命講習について

救命講習は、消防本部が主導し、応急処置の技能を習得するための講習です。総務省消防庁の「応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱」に基づき、各地の消防局・消防本部が実施する公的な資格の一つとされています。日本赤十字社の講習と同等の内容も含まれており、受講者数は年間約100万人と、救急救命に関する講習の中で最も多くの人が受講しています。

講習内容

救命講習では、救命、悪化防止、苦痛軽減の3つの要素に基づいた応急処置の実技指導が行われます。講習は、半日コースと終日コースがあり、以下のような種類があります。

- 救命入門コース：90分間の講習で、胸骨圧迫とAEDの使用法を中心とした救命処置を学びます。小学生高学年以上を対象としています。
- 普通救命講習I：3時間講習で、成人に対する心肺蘇生法、AEDを用いた除細動、気道異物除去、止血法などの応急手当を学びます。一般市民向けです。
- 普通救命講習II：4時間講習で、普通救命講習Iの内容に加え、筆記と実技の効果測定があります。医療関係者や集客施設職員など、救命処置を行う可能性の高い人を対象としています。
- 普通救命講習III：3時間講習で、小児・乳児・新生児に対する救命処置と応急手当を学びます。保育園や学校教職員、児童館職員などを対象としています。
- 上級救命講習：8時間講習で、成人や小児・乳児への救命処置、応急手当（普通救命講習IIおよびIII相当）、ファーストエイド、搬送法などを学びます。筆記と実技の効果測定があります。

これらの講習内容は、アメリカ心臓協会や国際蘇生連絡協議会などの国際ガイドラインに基づき、一般社団法人日本蘇生協議会が策定したJRC蘇生ガイドラインに準拠しています。ガイドラインは5年ごとに改訂され、講習内容も最新の知見を反映して更新されています。

修了証と参加証

講習を全教程修了すると、救命入門コースでは参加証が、その他の講習では消防長が発行する救命講習修了証（または救命技能認定証）が交付されます。一部地域では「市民救命士」という独自の名称を使用しているところもあります。

修了証に有効期限はありませんが（一部自治体を除く）、技能維持のため、2～3年ごとに再講習を受けることが推奨されています。なお、修了証は、総務省消防庁のガイドラインに準拠したものであれば、どこの消防本部で受講しても有効です。ただし、修了証番号は各本部で管理されているため、別の本部で再講習を受けると新しい番号になります。

開催スケジュールと受講申込

講習の開催日程は各消防本部や防災協会によって異なります。電話やWebサイトで確認できます。自治体の広報紙でも告知されることが多いです。一般公募のほか、10名以上の団体であれば出張指導も可能です。受講申し込みは電話で行えますが、Webサイトで申請できる地域もあります。団体の場合、受講申請書と受講者名簿の提出が必要です。過去に受講経験がある場合は、その旨を伝えると手続きがスムーズになります。

救命講習の重要性

救急車が到着するまでの間、市民による救命処置（バイスタンダーCPR）が非常に重要です。そのため、多くの地域では普通救命講習の開催を優先しています。上級救命講習は開催が少ない場合や、大人数での申し込みがあった場合にのみ対応することもあります。

講師資格

救命講習は、応急手当指導員または応急手当普及員の資格を持つ人が指導します。消防吏員も同様です。応急手当指導員はすべての救命講習で指導ができますが、応急手当普及員は普通救命講習のみ指導可能です。

その他

- 防災士：救命講習の修了証は、防災士の資格取得条件の一つです。
- 関連リンク：総務省消防庁の「応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱」は、講習のガイドラインとして重要な資料です。

救命講習は、大切な命を救うための知識と技術を習得できる貴重な機会です。積極的に参加しましょう。

もう一度検索