救援連絡センター

救援連絡センターは、1969年に設立された日本の人権団体であり、「被逮捕者の救援を通じ、公権力による弾圧に反対する」ことを主な活動目標としています。当初は、ベトナム反戦運動や安保闘争、全共闘運動、三里塚闘争などの激化に伴い、新左翼や労働運動、市民運動関係者の被逮捕者救援を目的として結成されました。しかし、現在では救援対象領域を拡大し、思想や信条に関わらず、広く人権擁護のための活動を行っています。

概要

1969年、社会運動が活発化する中で、運動参加者と警察の衝突が頻発し、多数の逮捕者が出ました。当時、被逮捕者や負傷者の救援を目的とする団体は各地に存在していましたが、それらの連携を強化するために救援連絡センターが設立されました。初代事務局長には原子核物理学者で反原発活動家の水戸巌、初代代表弁護士にはラストヴォロフ事件で逮捕された経験を持つ庄司宏が就任しました。

名称に「連絡」という言葉が含まれているのは、救援活動を行う諸組織が対等な関係であるという考えに基づいています。この名称は、映画監督の山際永三の提案によるものです。

救援連絡センターは新左翼の支援組織としての側面もありますが、「国家権力による、ただ一人の人民に対する基本的人権の侵害をも、全人民への弾圧であると見なす」「国家権力による弾圧に対しては、犠牲者の思想的信条、政治的見解の如何を問わず、これを救援する」という二大原則を掲げています。そのため、右翼や元公安関係者の救援活動も行うことがあり、左翼団体から批判を受けることもあります。オウム真理教の事件については、救援対象とするかどうかが議論され、「オウム裁判対策協議会」という別組織が設立されました。

活動内容

主な活動内容は、以下の通りです。

被逮捕者への弁護士派遣と接見交通権の確保
被疑者への助言や外部との連絡
弁護人選任
勾留理由開示公判の連絡
獄中への差し入れ
個別の救援組織に対する助言や連絡調整

従来の主要な活動領域は、新左翼や労働運動など、左翼的とみなされる運動体に対する弾圧でしたが、弁護士の派遣依頼があれば、二大原則を適用し、思想的信条や政治的見解に関わらず救援活動を行います。市民団体や一般の刑事犯からの依頼にも対応します。黙秘などの防御権を駆使したスタイルは、当番弁護士制度を導入した日本弁護士連合会の弁護活動とは一線を画し、刑事訴訟のあり方を原則的に問う姿勢が評価されています。

その他、保安処分や共謀罪への反対運動、受刑者の人権・獄中処遇の改善、死刑廃止運動、在日外国人の逮捕事件などにも取り組み、様々な運動体のアピールや声明、集会などに賛同団体として名を連ねています。

出版活動

月刊の機関紙『救援』を発行し、反弾圧に関する法曹界の動きや弾圧立法の動向を分析する記事、関連書籍の案内などを掲載しています。購読料の支払いが困難な獄中者には、無料で送付しています。

財源

主な財源は、救援を受けた個人やその家族を中心とした協力会員からの会費、『救援』の購読費、一般からのカンパです。新左翼や労働団体からの寄付は受け付けず、「救援連絡センター強化基金」からの補助を受けています。

利用方法

日本国憲法第34条は、誰でも逮捕された際に弁護人に依頼する権利を持つことを保障しています。警察に逮捕された場合、「弁解録取書」作成前に警察官は被疑者に対し弁護士を呼ぶことができる旨を告げる義務があります。この時「救援連絡センターの指定する弁護士を選任する」と告げれば、同センターから派遣された弁護士の接見などの救援を受けることができます。被疑者には黙秘権があり、救援連絡センターは、原則的な防御法として黙秘権の行使を推奨しています。

救援連絡センターへの依頼には、電話番号と代表弁護士の名前を伝える必要があります。

救援ノート

逮捕された場合の対処法や留置場・拘置所での生活、黙秘の重要性、警察の取り調べ方法などを解説した『救援ノート』を発行しています。これは弾圧による被害を防ぐための手引きであり、定期的に改訂されています。

賞歴

第18回多田謡子反権力人権賞 (2006年)
第21回東京弁護士会人権賞 (2007年)

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