救貧院 (アルムスハウス)

救貧院について

救貧院（きゅうひんいん）は、主に高齢で働けなくなった人々や、家賃を支払えなくなった人々など、社会的に弱い立場にある人々のための住居を提供する施設です。この制度は特にイギリスで発展し、慈善団体によって設立・運営されています。救貧院は、特定の地区に住む貧困者を対象にしており、過去に同じ職場で働いていたことがある者や寡婦なども受け入れています。

救貧院は、一般的に慈善団体や信託団体によって維持され、入居者の自立した生活を支援する目的があります。この点で、ワークハウスやプアハウスとは異なり、労働を強制することを前提としていません。

歴史的背景

救貧院は、ヨーロッパのキリスト教的価値観に基づく制度の一部であり、「アルムス」という言葉は貧困層を助けるための献金や奉仕を指します。イギリスでは、10世紀から救貧院が設立され、困窮している人々に住居を提供してきました。記録に残る最初の救貧院は、国王アゼルスタンによって設立されたもので、現在も残っている最古の救貧院はウィンチェスターの St. Cross Hospitalです。この施設は1130年代まで遡ることができ、歴史的にも重要な位置を占めています。

中世ヨーロッパでは多くの病院が救貧院として機能しており、イギリスでも病院と救貧院の役割は一体化していました。修道院に附属する形で存在することが多く、宗教的な要素が強い施設でもありました。

現在の救貧院

救貧院は、10世紀から現代にかけて存在し続けています。具体的なシェルターとの違いは曖昧ですが、一般的には慈善的な性格を持ち、入居者が自立するための支援を行っています。多くの救貧院は、古い建物に設置されており、小規模なテラスハウスやアパートで構成され、多くの居住者を収容することはできません。2023年8月の時点で、イギリスには約2600の救貧院が存在し、約30,000戸の住居には36,000人が住んでいます。

また、オランダでは「ホフィエ」と呼ばれる救貧院に相当する施設が多く、高齢者（主に女性）のための住居として機能しています。経済的な観点から見ると、救貧院は家賃補助の対象となる住宅を提供し、管理者なども社会福祉の資源として扱われています。

近代的な救貧院は教会に依存しない形で存在し、1597年に施行されたイングランド最初の救貧法に基づいて設立されることとなりました。この法令により、物理的・社会的な居住空間としての救貧院が独立した存在となるよう、様々な変化が起こりました。1900年当時の記録によると、救貧院の入居者の85%は高齢者であったと言われています。

参考文献

• - Heath, Sidney. Old English houses of alms: a pictorial record with architectural and historical notes (London: F. Griffiths, 1910).
• - Rothman, David J. (Ed.). The Almshouse Experience, in series Poverty U.S.A.: The Historical Record (Arno Press, 1971). ISBN 0405030924
• - Caffrey, Helen. Almshouses in the West Riding of Yorkshire 1600-1900 (Kings Lynn: Heritage, 2006). ISBN 1-905223-21-8

救貧院は長い歴史を持ち、慈善活動の一環として多様な社会的支援を提供する重要な施設といえるでしょう。

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