敔

敔（ぎょ）について

敔（ぎょ）は、中国の雅楽や朝鮮の儒教音楽において、特に演奏の最後に用いられる重要な打楽器です。この楽器は、演奏の終了を告げる役割を果たし、伝統音楽の中における象徴的な存在となっています。

形状と構造

敔は、木製で製作され、その形状は虎を元にしてデザインされています。また、楽器の背面には「鉏鋙」（そご）と呼ばれる鋸のような27の刻みが施されています。このような独特な形状により、敔は視覚的にも注目を浴びる存在になります。

古代中国の音楽理論「八音」では、敔は「木」に分類され、同じく木製の楽器である柷（しゅく）や拍板（はくばん）とともに位置づけられています。特に柷は、漢王朝以降の楽演奏の開始時に合図として使用されていました。

演奏方法

敔の演奏方法は非常に特徴的であり、竹製のささら（「木櫟」や「籈」とも呼ばれる）を用いています。このささらの頭を3度軽く叩いた後、楽器の背側を3回なで下ろすことで、演奏の終了を告げます。これは、音楽の終わりをはっきりと示すための儀式的な動作とされています。

歴史的背景

敔の起源は、中国の周代にさかのぼります。そして、高麗王朝時代の1117年に、宋から朝鮮に伝えられたとの説があります。このように、敔は何世紀にもわたって音楽文化に影響を与え続けてきました。

現代でも、敔は文廟や宗廟で行われる祭礼楽において使用されており、古代の伝統を受け継ぐ重要な楽器としての位置を確立しています。これらの儀式では、敔が音楽の終息を象徴する役割をしっかりと果たしています。

敔と他の打楽器

敔は、他の木製打楽器と同様に棒を使用してこする音を出します。例えば、ギロやヘコヘコといった打楽器も、音作りにおいて異なる方法を採用していますが、共通の木製打楽器のカテゴリに属しています。敔の独特な演奏スタイルは、これらの楽器との違いを際立たせる要素となっています。

まとめ

敔（ぎょ）は、その特異な形状と演奏方法により、中国及び朝鮮の音楽文化において非常に重要な役割を果たしてきました。古代から伝承されたこの楽器は、時を経てもなお、儀式や祭典で活躍し続けています。その歴史的背景と現代における使用は、敔をただの楽器以上の存在として位置づけています。

もう一度検索