教会領長崎

教会領長崎

教会領長崎とは、1580年（天正8年）から1587年（天正15年）までの間、イエズス会によって統治されていた時代の長崎を指します。

概要

キリシタン大名であった大村純忠は、ポルトガル人が日本における寄港地を探していたことを受け、1571年（元亀2年）に長崎を開港しました。長崎は天然の良港であり、ポルトガルの重要な寄港地として発展しました。しかし、純忠は周辺の大名からの圧迫に苦しんでいました。このような状況の中、南蛮貿易を維持することを目的として、純忠はイエズス会巡察使のアレッサンドロ・ヴァリニャーノに対し、長崎を同じく領内の茂木とともにイエズス会に寄進することを申し出ました。これにより、長崎の司法権と行政権はイエズス会が握ることとなりました。

イエズス会による統治は、長崎の都市としての発展に寄与したと考えられます。しかし、豊臣秀吉が九州を支配下に収めると、長崎の統治権は没収され、イエズス会による統治は終焉を迎えました。この教会領時代は、わずか7年という短い期間でしたが、長崎の歴史において重要な転換期となりました。

教会領時代の長崎市民の生活

教会領時代の長崎市民の生活については、詳細な記録は少ないものの、イエズス会の影響下でキリスト教文化が浸透していったと考えられています。また、ポルトガルとの貿易によって経済的な繁栄を享受した一方、イエズス会の統治下では、キリスト教の信仰を強制される側面もあったと推測されています。長崎は、この時代に国際的な貿易都市としての基礎を築き、後の歴史に大きな影響を与えることになりました。

関連文献

安野眞幸『教会領長崎 イエズス会と日本』講談社〈講談社選書メチエ〉、2014年6月11日。ISBN 978-4-06-258579-8。
小西瑞恵「自治都市長崎の歴史的位置 安野眞幸氏の研究を中心に」『大阪樟蔭女子大学学芸学部論集』第45号、大阪樟蔭女子大学、2008年1月31日、233-246頁。

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