教皇庁年鑑

教皇庁年鑑とは

『教皇庁年鑑』（Annuario Pontificio）は、カトリック教会に関する公式年鑑であり、ローマ教皇庁によって発行されています。この年鑑は、教会の組織構造、人事情報、統計データなど、広範な情報を提供しており、カトリック教会の現状を把握するための重要な資料となっています。

掲載内容

『教皇庁年鑑』には、以下のような情報が掲載されています。

歴代教皇の一覧: カトリック教会の歴史における歴代の教皇が、年代順に掲載されています。この一覧は、教皇の正統性に関する解釈の変遷も反映しており、歴史的な視点からも興味深い内容です。
教皇庁の組織: 教皇庁の各部門（省庁）とその職員一覧が掲載されており、教皇庁の組織構造を理解する上で役立ちます。
枢機卿・司教の名簿: 世界中の枢機卿や司教の氏名、連絡先が掲載されています。これにより、カトリック教会の聖職者ネットワークを把握することができます。
教区別の統計: 世界中の各教区における信者数、司祭数、教会数などの統計データが掲載されています。これにより、カトリック教会の世界的な分布状況や、各地域の教会活動の状況を知ることができます。
教皇庁の在外公館: 教皇庁が派遣している大使や公使、およびその在外公館の所在地が掲載されています。
カトリック関連の宗教団体: カトリック教会に関連する宗教団体とその統計データが掲載されています。
教皇庁の学術機関: 教皇庁が運営する学術機関に関する情報が掲載されています。
索引: 本文中に登場するすべての氏名、および「モンシニョール」の称号を持つすべての司祭の氏名が掲載されています。

歴史

『教皇庁年鑑』は、カトリック教会の年鑑として、1716年から断続的に刊行されてきました。当初は『〇〇年の情報』というタイトルで出版されていましたが、1860年に『教皇庁年鑑』と改題されました。その後、一時的に休刊期間がありましたが、1912年に現在の形に近い年鑑として復活し、1925年に一旦中断、1940年から再び刊行されています。当初は半公式出版物でしたが、現在ではカトリック教会の公式出版物として重要な位置を占めています。また、初期は人名一覧がメインでしたが、1912年からは、教皇庁の組織や役職に関する説明も加筆されました。

統計データ

『教皇庁年鑑』に掲載されている統計データは、各教区の教務所から提供された情報に基づいており、基本的に発行年の前年12月31日時点のものです。各教区について、以下のデータが掲載されています。

面積
人口
カトリック信者数
小教区と準小教区の数
教会または伝道所の数
教区に居住する世俗司祭の数
その年に叙階された教区司祭の数
教区に居住する修道司祭の数
その年に叙階された修道司祭の数
常任助祭の数
哲学と神学を履修している神学生の数
男子修道会会員の数
女子修道会会員の数
教育機関の数
慈善団体の数
洗礼の数

これらのデータは、カトリック教会の現状を把握し、教会活動の動向を分析するための重要な情報源となります。

教皇一覧

『教皇庁年鑑』に掲載されている教皇の一覧は、教皇の正統性の解釈が時代によって変化していることを反映しています。例えば、教会大分裂時代の対立教皇をどのように扱うかという問題は、年鑑の内容にも影響を与えています。現代の年鑑では、ヨハネス23世を名乗った教皇が複数いたことについて、正統な教皇と対立教皇を区別して掲載することで、その歴史的経緯を示しています。

まとめ

『教皇庁年鑑』は、カトリック教会の組織、人事、統計データを網羅した重要な資料です。この年鑑を通じて、カトリック教会の現状と歴史を理解することができます。教会関係者だけでなく、研究者や歴史に関心のある人々にとっても、貴重な情報源となるでしょう。

もう一度検索