敦煌 (映画)

映画『敦煌』の紹介

『敦煌』（とんこう）は、1988年に日本と中国が共同製作した映画で、シルクロードを舞台にした歴史的な物語を描いています。原作は著名な作家・井上靖の小説で、1989年には第12回日本アカデミー賞にて数々の賞を受賞しました。この作品は、北宋時代の中国を背景に、科挙（科挙試験）に挑む若者の成長と愛、人間ドラマを描いています。

あらすじ

物語は、主人公である趙行徳（佐藤浩市）が科挙の試験を受けるために華北の首都、開封府にやってくるところから始まります。彼が受けた問題は「西夏対策を論ぜよ」というものでしたが、行徳は西夏をただの辺境の地と思い込み、試験に失敗してしまいます。失意の中で、行徳は西夏出身の女性との出会いを契機に西夏に興味を抱き、西へ旅立つ決意をします。

しかし、旅の途中で彼は西夏の傭兵部隊に捕まり、そのまま編入されてしまいます。漢人部隊の長である朱王礼（西田敏行）は、行徳の才能に目を付け、彼を部隊の書記に任命します。行徳は思いもよらなかった西夏の文化や歴史に触れ、そこでウイグルの王女・ツルピアとの運命的な出会いも果たします。彼らは次第に互いに惹かれ合うものの、様々な困難に直面します。

行徳は、ツルピアを守るため、彼女の庇護を朱王礼に託し、後に彼女が西夏の皇太子・李元昊との結婚を余儀なくされるという悲劇に巻き込まれます。 wedding の席でツルピアは李元昊を殺害しようとしますが、これが失敗に終わり、彼女は絶望のあまり身を投げてしまいます。

作品のテーマとキャラクター

この映画のテーマは、愛と戦乱の交錯です。行徳は文化遺産を戦火から守ろうと決意し、貴重な書籍や経典を敦煌郊外の石窟寺院に非難し、後世に敦煌文献として伝える重要な役割を果たします。映画には多くのキャラクターが登場し、それぞれがドラマを展開させます。特に朱王礼は行徳に期待を寄せる立場として、物語の重要な役割を果たします。

また、ツルピア王女は行徳を愛しつつも、多くの運命の重圧に苦しむキャラクターとして描かれ、映画の深みを増しています。さらに、行徳の友人たちや敵も物語の中で重要な存在となり、それぞれが持つ背景や想いが交錯します。

製作の背景

『敦煌』の製作は、映画制作者の徳間康快の強い意志から始まりました。映画化権を获得するために、井上靖に映画化の権利を交渉し、1974年に製作発表が行われます。製作には多くの資金が動き、中国側との交流が進み、ついに日中合作の実現を果たしました。

受賞と評価

公開後、映画は多くの好評を得て、特に第12回日本アカデミー賞では最優秀作品賞や最優秀監督賞を含む複数の賞を受賞。作品は日本映画界において、文化遺産の重要性や愛の儚さを描く重要な位置を占めています。

以上の背景を踏まえると、映画『敦煌』は単なる娯楽作品に留まらず、歴史や文化についても深く考察させる、意義深い作品であると言えるでしょう。

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