敬神党

敬神党の概要

敬神党（けいしんとう）は、旧肥後藩士族の中で形成された三大派閥の一つであり、勤皇党の中でも特に明治政府に対する反発を強めた派閥です。この団体は、藩内での教育方針や政治的視点において異なる意見を持つ派閥が存在していた肥後藩の状況から生まれました。

藩内の派閥と教育方針

肥後藩では、教育を巡って3つの主要な派閥が形成されていました。ひとつは藩校における朱子学を中心とした学校党、次に横井小楠によって提唱された、政治と教育の関与を重視する実学党、そして国学や神道を基盤とする教育を重視する勤皇党です。

勤皇党の主要な人物には、河上彦斎や太田黒伴雄、加屋霽堅などが挙げられます。彼らは、当時の政治体制に不満を抱いており、その結果として敬神党が結成されることになりました。

敬神党の特徴

敬神党の構成員は、特に神道の信仰心が強かったことが特徴です。このため、周囲の人々からは「神風連」と呼ばれることもありました。敬神党のメンバーは多くが神職に就いており、特に新開大神宮で神職を務めた太田黒伴雄が「宇気比」（うけい）という誓約祈祷を行うなど、宗教的な儀式が重要視されていました。

このような背景の中で、彼らは神の意志を受け止めながら、政治的行動を起こすことを決意しました。時代の流れの中で、彼らの信念と行動が結びつき、敬神党は大きな動きを見せることになります。

神風連の乱

敬神党は、1876年に刀剣を廃止するという政府の廃刀令が発布された後、これに対抗する形で「神風連の乱」として知られる武力蜂起を引き起こしました。この乱は、藩内の士族たちが政府への不満を表明する重要な出来事であり、敬神党の信念が暴力行為に結びついた結果、深刻な社会問題となりました。

このように敬神党は、肥後藩士族の中でも特に神道を重んじ、明治政府への抵抗を試みた団体であり、その行動はその後の日本の歴史に影響を与えました。歴史的な背景や社会動向を理解する上で、敬神党の存在は重要な要素であると言えるでしょう。

参考文献

• - 石原醜男『神風連血涙史』大日社、1935
• - 坂田大『小楠と神風連』蘇麓社、1977
• - 熊本日日新聞社編纂『熊本県大百科事典』熊本日日新聞社、1982
• - 平野敏也、工藤敬一編『熊本県の歴史』河出書房新社、1997

関連項目

• - 藤崎八旛宮
• - 鐙田杵築神社
• - 近津鹿島神社
• - 別所琴平神社

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