文学カフェ (サンクトペテルブルク)

サンクトペテルブルクの文学カフェ：文豪たちの足跡を辿る

サンクトペテルブルクの中心部、ネフスキー大通りに面した場所に、歴史と文化が息づく「文学カフェ」があります。ここは、かつてプーシキンやドストエフスキーといったロシアを代表する文豪たちが集い、芸術論を交わした場所として知られています。

歴史

文学カフェの建物は、18世紀中旬に建てられました。1812年から1815年にかけてコトミンによって修復され、アパートメント「コトミン・ビル」として生まれ変わりました。その1階には、ヴォルフ＆ベランジェ菓子店が開店し、プーシキン、レールモントフ、シェフチェンコなど、多くの文豪たちが集まるサロンのような場所となりました。

特に有名なのは、1837年にプーシキンがジョルジュ・ダンテスとの決闘に向かう前に、ここで介添え人のコンスタンチン・ダンザスに会ったというエピソードです。決闘で受けた傷が原因で、プーシキンは2日後に亡くなりました。また、レールモントフがプーシキンの死を悼んで書いた詩「詩人の死」を、フェオドル・グリンカがここでウラジミル・ブルナシェフに読んで聞かせたという逸話も残っています。1840年には、ドストエフスキーがミハイル・ペトラシェフスキーと出会い、空想的社会主義について語り合ったとされています。

1877年に菓子店は閉店し、代わりに高級レストランがオープンしました。その後は、チャイコフスキーやシャリアピンといった音楽家たちが集まる場所となりました。チャイコフスキーがこのレストランで水を所望し、それが原因でコレラに感染し、1893年に亡くなったという説もあります。

1858年から2001年の間には、地下に古本屋が開かれ、多くの人々に親しまれました。1978年から1981年にかけて建物全体が改修され、1983年に現在の「文学カフェ」が開店しました。

現在

現在の文学カフェは、1階と2階を占めています。店内には、かつてここを訪れた文豪たちの写真が飾られ、2階にはプーシキンの蝋人形がテーブルに向かっている姿を見ることができます。

カフェでは、様々な料理や飲み物を楽しむことができます。ロシアの伝統的な紅茶やサモワールを使った紅茶も提供されており、ケーキやジャムと共に味わうことができます。ジャムを紅茶の中に入れる習慣はないようです。

文学カフェは、サンクトペテルブルクの観光名所の一つとして、多くの観光客が訪れます。また、ロシアの伝統にのっとり、詩の朗読会などのイベントも開催されています。

その他の文学カフェ

サンクトペテルブルクには、ドーム・クニーギ（本の家）のカフェやインターネットカフェなど、多くのカフェがあります。モスクワには、新アルバート通りにあるドーム・クニーギの文学カフェがあります。日本にも、「Bundan Coffee & Beer」（日本近代文学館）という文学に関連したカフェがあります。

また、「文学カフェ」という言葉は、文学に関する有料または無料の講演会や、文学に関するインターネットサイトを指すこともあります。

文学カフェは、サンクトペテルブルクを訪れる人々にとって、歴史と文化に触れ、文豪たちの足跡を辿ることができる特別な場所です。

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