斉射

斉射（せいしゃ）

斉射とは、大砲や銃を一斉に放つ戦法であり、実弾の発射だけでなく、礼砲なども含まれます。この戦術は、特に軍艦が舷側から撃つ場合に多く用いられます。

概要

歴史的に、前装式の小[[銃]]を使用していた時代の歩兵は、弾薬の装填に時間がかかりました。これを考慮して当時の射撃教練では、部隊を数列に分けた横隊編成が導入され、交互に射撃を行うことで絶え間ない攻撃が可能なように工夫されました。具体的には、一段組が斉射を行っている間に、他の段は新たに弾薬を装填する仕組みになっています。

「斉射」という言葉は、主に戦艦の舷側射撃に関連して使用されてきました。帆船時代の17世紀から19世紀までの艦隊戦において、戦列艦は敵艦に対して多くの大砲を指向して一斉に撃つように機動しました。このような斉射は、敵に重大な損害を与えるだけでなく、敵艦に混乱をもたらし、同時に砲身の清掃や再装填の時間を確保する役割も果たしていました。

名将ホレーショ・ネルソンが実行した丁字戦法は、敵の戦列に自艦の列を交差させることで、全長にわたる舷側の斉射を狙ったものです。最大の効果を得るためには、前方の艦が敵戦列を超えた際に、他の艦も省時間で同時に射撃できる位置に達することが求められました。

弩級[[戦艦]]と斉射

次第に、単一口径の主砲塔を備えた弩級[[戦艦]]が登場し、この時代になると斉射は片舷の半数の砲を使って行われるようになりました。これは弾着の観測を的確に行い、再装填と照準の修正にかかる時間を確保するためです。弩級[[戦艦]]においては、砲弾が目標に到達する間に再装填が行われます。具体的には、戦艦の主砲が再装填を終え、射撃体勢に入るまでには約30秒の時間が必要です。この間に敵艦が移動し、照準を狂わせるための回避行動を取る可能性もあるため、精度の確認が難しくなります。

斉射による弾着は、通常、目標距離より遠くに1発、近くに1発、そして狙い通りに2発が着弾することが多いとされています。このような状況下で、射撃指揮官は、どの弾が命中したかを観察し、それによって照準が正確であるかを判断します。

戦艦や巡洋艦の砲塔では、高所に配置された砲術士官が照準を指示します。彼らは光学機器を使って距離を測定し、必要な情報を各砲塔へ伝達します。技術の進歩に伴い、射撃管制装置による遠隔操作が可能となり、さらには第二次世界大戦以降はレーダーを使用した照準が一般化しました。

まとめ

斉射は軍事戦術の中でも非常に重要な役割を果たし、敵艦への集中砲火を可能にし、その影響を最大化するための手段として継承されてきました。

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