斎場御嶽

斎場御嶽（せーふぁーうたき）

斎場御嶽は、沖縄県南城市知念にある琉球王国時代の史跡で、15世紀から16世紀にかけての尚真王時代に重要な御嶽として整備されました。御嶽とは、琉球における聖地であり、信仰の対象となる場所です。

「せーふぁ」とは「最高位」を意味し、斎場御嶽は「最高の御嶽」という意味で、通称として用いられています。正式な神名は「君ガ嶽、主ガ嶽ノイビ」といいます。

施設と伝承

斎場御嶽の敷地内には、首里城内の施設名と同じ名前を持つ拝所が複数存在します。特に、最奥部にある三庫理（さんぐーい）は、3つの拝所が集中する神聖な場所です。この場所には「チョウノハナ（京の華）」という最も格式の高い拝所があり、琉球の創世神であるアマミクがクバの木を伝って降臨すると伝えられています。

三庫理からは、王国開闢にまつわる最高聖地とされる久高島を遥拝できます。しかし、これは近世になって三庫理の岩壁の一部が崩れたことによるもので、以前は三方を岩壁に囲まれた空間でした。現在、三庫理内部は立入禁止となっており、久高島遥拝所も立ち入りができません。

王国時代の斎場御嶽

斎場御嶽は、文字通り琉球王国最高の御嶽とされ、国家の最高神職である聞得大君（きこえおおぎみ）が管理していました。聞得大君の就任儀式「御新下り（おあらおり）」もここで行われていました。

かつて、琉球の御嶽は全て男子禁制であり、斎場御嶽では庶民は入口の御門口（うじょーぐち）より先に進むことは許されませんでした。国王であっても、御門口より先に入るためには、服装を女性のように改める必要があったと伝えられています。

文化的な価値

2000年12月、斎場御嶽は首里城跡などとともに「琉球王国のグスク及び関連遺産群」としてユネスコの世界遺産（文化遺産）に登録されました。また、国の史跡、沖縄県指定名勝にも指定されており、御嶽内で出土した陶磁器や勾玉などは「沖縄県斎場御嶽出土品」として国の重要文化財（考古資料）に指定されています。

周辺の森林は、沖縄本島南部で最も優れた森林の一つであり、シダ植物やラン科植物など珍しい植物が多く見られます。本島中南部は第二次世界大戦で大きな被害を受けましたが、この地域は戦災を免れ、貴重な自然が残されています。ただし、いくつかの艦砲弾の着弾跡が残っており、見学道からその一つを見ることができます。

2000年代以降、御嶽周辺が整備されましたが、森林の荒廃もみられるようになっています。

観光

2007年7月1日より、斎場御嶽の観覧は有料化されました。入場チケットは南城市地域物産館で購入できます。

通路には傾斜路があるため、車椅子やベビーカーでの入場はできません。ハイヒールなどの靴を履いている場合は、入口にある緑の館・セーファで無料貸し出しのサンダルに履き替える必要があります。

入館料

大人（高校生以上）：300円
小人（小・中学生）：150円
団体（20名以上）：200円

入場券は斎場御嶽入口ではなく、駐車場がある南城市地域物産館「がんじゅう駅・南城」でのみ販売しています。

開館時間

3月～11月：9時00分～18時00分（入場チケット販売は17時15分まで、入館は17時30分まで）
11月～2月：9時00分～17時30分（入場チケット販売は16時45分まで、入館は17時00分まで）

休息日

聖地としての静寂さの確保と自然保護のため、毎年2回（旧暦の5月1日～3日と10月1日～3日）が休息日となります。2017年度は5月26日～28日、11月18日～20日でした。

交通アクセス

マイカー：南城市地域物産館「がんじゅう駅・南城」または知念岬公園の駐車場を利用。斎場御嶽入口まで徒歩7～10分（約400メートル）。
* 路線バス：那覇バスターミナルより東陽バスの38番・志喜屋線または338番・斎場御嶽線に乗車し、斎場御嶽入口バス停で下車。または、沖縄バス・東陽バスの「南城市役所」行きに乗車し、終点からコミュニティバス「Nバス」A・Bルートに乗り換え、斎場御嶽入口バス停で下車。

その他

近年、観光客の大幅な増加により、石畳のすり減りや、地元住民の祈りを無断で撮影するなどのマナー違反が問題となっています。そのため、南城市では文化財保護のため、将来的には男子禁制を徹底することも検討されています。

2021年4月5日には、斎場御嶽の15基の香炉のうち1基が行方不明になり、別の石材に置き換えられる事件が発生しました。犯人は窃盗容疑で逮捕され香炉は無事に戻りましたが、この事件をきっかけに、以前は立ち入ることができた三庫理が立入禁止区域に設定されるなどの影響がありました。

斎場御嶽は、歴史と文化、自然が融合した神聖な場所です。訪れる際には、マナーを守り、その神聖さを尊重するように心がけましょう。

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