斗母元君

斗母元君について

概要

斗母元君、または斗姆元君（とうむげんくん）は、中国の道教や民間信仰において崇拝されている女神です。彼女は北斗七星の母であり、日・月・星辰を統治する重要な神とされています。斗母元君は、仏教の摩利支天が道教化した神とも考えられており、あらゆる障害を取り除く力を持ち、信徒に利益をもたらす存在です。彼女は「天后（天の女王）」という尊号を持ち、周御国王斗父天尊に対応します。その全名や称号は多岐にわたり、長いものが多いですが、彼女の神格は文化的な重要性を表しています。

容姿

斗母元君の姿は荘厳で、天青雲錦の法服と宝冠を身にまとった姿で描かれます。四つの頭と三つの目を持ち、慈悲や怒りなどの異なる相を表しています。特に注目すべきは、彼女の八本の腕にさまざまな武器や道具を持っていることで、天空の力を象徴しています。彼女が座る蓮華座や、七頭の豚に引かれる二輪戦車は、道教の深い哲学と関係があります。

神話と教義

民間伝承によると、斗母元君は元始天王の女性的な化身であり、彼女の存在は陰陽の象徴として位置づけられています。道書『霊宝領教済度金書』では、彼女は陰の気から誕生したと説明されています。また、斗母元君は紫光夫人としても知られ、彼女は龍漢時代に家庭を持ち、九人の子供を生んだとされ、その子供たちが北斗七星として描かれています。道教の聖典においては、彼女は「先天道后」と称され、道教の教義の中で重要な役割を果たしています。

脇侍と配下

斗母元君には数多くの神々が従っています。彼女の脇侍としては、玉梵尊天嘍囉王や密迹金剛などがいます。また、太歳星君や太陽星君、太陰星君も彼女に従う存在です。これらの神々はともに、道教の神々の体系において彼女の地位を高める役割を果たしています。

文化的影響

斗母元君の信仰は中国全国に広まり、多くの寺院や神社で彼女の像が奉納されています。四川省成都市にある青羊宮の斗姥殿など、多くの場所で彼女の姿が見られ、これらの神像は信者にとって重要な崇拝の対象です。また、明代の『封神演義』などの文学作品にも彼女の名が見られ、文化的な影響が強いことを示します。道教の教義において、彼女は不朽の「赤子」の母として位置づけられ、老子や黄帝の誕生に関する神話とも関わりがあります。

まとめ

斗母元君は、中国の神話と道教の重要な神格です。日・月・星辰を包含する力を持ち、あらゆる障害を取り除き、信者に利益をもたらす存在として広く敬われています。彼女の独特な容姿や神話の数々は、道教と民間信仰の深い哲学を反映しており、彼女の信仰は今なお多くの人々に受け入れられています。

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