新保博

新保博（しんぼ ひろし）について

新保博は、1923年11月11日に旧東京市本郷区に生まれ、2002年2月17日に逝去した日本の著名な経済史学者です。彼の業績は、経済史の分野において数多くの学問的貢献を果たしました。

学歴とキャリア

新保は慶應義塾大学の経済学部に入学しましたが、学徒出陣により横須賀重砲兵連隊に徴兵され、その後1945年に復学しました。在学中、彼は日本経済論を専門とする伊東岱吉教授のゼミに参加し、学びを深めました。1947年には卒業論文「前期的賃労働の形成過程」を提出して経済学部を卒業し、その後、副手を経て1951年に神戸大学経済学部の助手に就任します。

彼のキャリアは急速に進展し、1952年に講師、1953年には助教授、1963年に教授となりました。1964年には「近世農村の史的考察 商品経済の発展と農村構造の変化」により神戸大学から経済学博士の学位を取得しました。1978年から1980年には神戸大学経済学部長を務め、1987年に定年退官となります。その後も中京大学経済学部の教授として教育に貢献し、1998年に退職しました。

新保は数量経済史を専門とし、特に日本の経済発展に関する研究に注力しました。彼の成果は、多くの学生や後進の学者に影響を与え、経済史の研究の進展に寄与しました。

主な著書と研究

新保博の著作は非常に多岐にわたります。1967年に発表した『封建的小農民の分解過程 近世西摂津菜種作地帯を中心に』は、彼の初期の代表作として高く評価され、近世農業の変遷を詳細に分析しています。また、1968年には『日本近代信用制度成立史論』を発表し、近代的な信用制度の形成過程について考察しました。

1978年には、近世の物価と経済発展に関する研究を扱った『近世の物価と経済発展 前工業化社会への数量的接近』を発表し、当時の経済社会の構造を解明しています。さらに、1985年には江戸時代の商人の経営感覚を探求した『寛政のビジネス・エリート 大阪商人・草間直方にみる江戸時代人の経営感覚』、1995年には『近代日本経済史 パックス・ブリタニカのなかの日本的市場経済』を編纂しました。

彼の研究は、経済史における数量的アプローチを強調し、歴史的データの分析を通じて経済の動態を可視化する手法を取っています。共編著としては『数量経済史入門 日本の前工業化社会』や『日本経済の発展 近世から近代へ』など、他の学者との協力も行いました。

影響と功績

新保博の研究は、日本の経済発展や社会構造の理解を深める上で多大な影響を与えました。彼の業績は、経済史研究におけるフレームワークを築き、今後の研究者たちに新たな視点を提供するものとなっています。彼の指導を受けた多くの学生たちも、その影響を受け業界で活躍しており、経済学の分野での新たな研究を続けています。

新保の業績は、経済学の発展とともに多くの研究や実践に反映され、彼の名前は経済史における重要な学者として記憶され続けることでしょう。

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