新可児検車場

新可児検車場（しんかにけんしゃじょう）は、過去に名古屋鉄道が所有し、岐阜県可児市下恵土に設けられていた車両基地の一つです。名鉄の主要な車両検査拠点である犬山検査場の管轄下にある派出検車場として位置づけられ、広見線の新可児駅構内にその姿がありました。

この検車場は、主に八百津線で運用されるレールバスなどの気動車類に特化した基地でした。八百津線が気動車による運行へ転換されたのに伴い、導入された車両の日々の点検や整備を行う目的で開設されました。また、車両の留置場所としての車庫機能や、運行に必要な燃料を供給するための給油基地としての役割も担っていました。新可児駅の一番線ホームに隣接した場所に設けられ、敷地面積はおよそ145平方メートルと比較的コンパクトな規模でした。車両の収容能力は、キハ10形であれば3両、キハ30形であれば2両を留置することができました。ただし、大規模な検査や改造に対応できる設備はなかったため、それらは名鉄の犬山検査場で実施されていました。

新可児検車場には、その運用を特徴づける事情がありました。八百津線で使用されていた気動車は、搭載している燃料タンクの容量に限りがあったため、一日の運行途中で燃料補給のためにこの検車場へ戻る必要がありました。こうした事情から、昼間には御嵩駅や八百津駅方面と新可児駅を直接結ぶ定期列車が、燃料補給のための一往復として特別に設定されていました。これは、検車場が単なる保守拠点であるだけでなく、実際の運行ダイヤにも影響を与える重要な施設であったことを示しています。

新可児検車場の歴史は、八百津線の気動車化と共に始まりました。1984年（昭和59年）、八百津線にレールバスが導入されるのに先立ち、この検車場が開設されます。同年8月10日と12日には、導入予定であった富士重工業製のLE-Car（レールバス）が八百津線の明智 - 八百津間で試運転を実施。そして同年9月23日にはキハ10形の運用が開始されました。その後、1988年（昭和63年）にはキハ20形が運用に加わり、1995年（平成7年）にはより近代的な軽快気動車であるキハ30形が登場し、これに伴いキハ10形の運用は終了しました。新可児検車場は、これらの車両を対象に日常的な保守業務を継続しました。

しかし、八百津線の未来は長くありませんでした。2001年（平成13年）10月1日、八百津線が廃止されることになり、これにより同線で運行されていた気動車もその役目を終えました。運行車両がなくなったことで、それらを保守管理していた新可児検車場も存在意義を失い、同日付で閉鎖されました。施設自体は、その後2006年頃に撤去されています。短い期間ではありましたが、新可児検車場は八百津線の気動車運行を支える上で不可欠な役割を果たした施設でした。

関連項目

* 日本の車両基地一覧

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