新在家南町

新在家南町：神戸の酒造地帯と歴史を織りなす町

はじめに

兵庫県神戸市灘区に位置する新在家南町は、古くからの歴史と現代の産業が調和する魅力的な地域です。本稿では、新在家南町の地理、歴史、人口統計といった多様な側面から、その特徴を詳しく見ていきます。

地理：酒造業の中心地

新在家南町は、灘区東部の旧新在家村域南部に位置し、国道43号と阪神高速3号神戸線の南側に広がっています。東は浜田町、南東は灘浜東町（運河を挟んで）、西は大石南町（都賀川を挟んで）、北西の一点は大石北町、北は順に大石東町、新在家北町と隣接しています。町域は一丁目から五丁目まで分かれています。

この地域は、沢の鶴、福徳長酒類、オエノンプロダクトサポート、白鶴酒造、月桂冠といった有名酒造メーカーの工場が集中しており、古くから酒造業が盛んなことで知られています。豊かな水資源と歴史に裏付けられた伝統技術が、この地を灘五郷の中心的な酒造地帯として確立しました。

歴史：室町時代から続く集落

「新在家」という地名は、全国各地に見られるように新しい村を意味します。新在家南町の歴史は室町時代にまで遡り、近世初期には大石村から分かれて、東大石の海岸沿いに集落が形成されました。江戸時代初期には「新在家村」と呼ばれるようになり、都賀川を境に西側を西大石村、東側を東大石村と呼ぶこともありました。

明治16年（1883年）には、大石村と新在家村は連合戸長制を導入し、新在家組として一つの戸長を共有するようになりました。その後、明治22年（1889年）には両村が合併して都賀浜村となり、大正3年（1914年）には西郷町と改称されました。

神戸市への合併後、昭和13年（1938年）の町名変更によって、現在の新在家南町が誕生しました。その後、昭和41年（1966年）の町名整理によって、新在家中町と入船町は消滅しました。このように、新在家南町は、長い歴史の中で幾度かの変遷を経て、現在の姿に至っています。

人口統計：令和2年国勢調査

令和2年（2020年）の国勢調査によると、新在家南町の人口は3,034人（男性1,494人、女性1,540人）、世帯数は1,493世帯でした。この数値は、新在家南町の規模と、この地域における生活の様子を知る上で重要な指標となります。

まとめ：歴史と産業が織りなす地域

新在家南町は、歴史と産業が深く結びついた地域です。室町時代から続く歴史と、酒造業という伝統産業が息づく町として、神戸市の中でも独特の個性を持っています。酒造メーカーの工場が立ち並ぶ風景は、この町の重要な特徴であり、その歴史と発展を物語っています。今後も、歴史と伝統を守りながら、新たな発展を遂げていくことが期待されます。

参考文献

神戸史学会 編『神戸の町名 改訂版』神戸新聞総合出版センター、2007年
灘区役所広報相談課 編『灘区の町名』灘区役所広報相談課、1976年
* 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 28 兵庫県』角川書店、1988年10月

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