新宿の与太者

新宿の与太者：現代任侠アクションの系譜

1970年12月18日、東映より公開された『新宿の与太者』は、菅原文太主演、高桑信監督によるカラー映画（上映時間117分）である。現代やくざ映画として広く認識されており、シリーズの第3作目と位置付けられることが多い。

ストーリー：新宿を舞台にした抗争

刑務所を出所したばかりのチンピラ、勝又五郎（菅原文太）は、新宿で新たな愚連隊を結成する。勢力を拡大していく彼らだったが、やがて組織の陰謀に巻き込まれ、結成したばかりの愚連隊は壊滅の危機に瀕する。組織の不正や裏切りを目の当たりにした五郎は、彼らを倒すべく、壮絶な抗争へと身を投じていく。現代社会の闇と、そこに生きる男たちの生き様を描いた、痛快かつハードな任侠アクションが展開する。

映画内では、主人公たちが鑑賞する映画として『昭和残侠伝 人斬り唐獅子』の一部が使用されているという興味深い演出も見られる。これは、当時の観客にとって、現代やくざ映画と従来の任侠映画との繋がりを感じさせる効果があったと推察できる。

キャスト：豪華俳優陣が脇を固める

本作には、菅原文太を筆頭に、個性豊かな俳優陣が多数出演している。

勝又五郎：菅原文太 - 主人公。出所後、新宿で愚連隊を結成する。
北見秀男：佐藤允
高見清次：山城新伍
郷原正治：葉山良二
関水：金子信雄
結城ジュン：小松政夫
高山ヒサ：笠置シヅ子
大和田：若山富三郎

その他、多数の俳優がそれぞれの役どころで物語を彩る。脇役たちの存在感も、作品全体の重厚感を増している。

スタッフ：東映映画の黄金期を支えた面々

監督を高桑信、脚本を村尾昭が務め、企画には俊藤浩滋と矢部恒が名を連ねるなど、東映映画黄金期を代表するスタッフ陣が参加している。撮影、美術、音楽、録音、照明、編集など、各部門のプロフェッショナルたちが結集し、作品クオリティを支えた。

監督：高桑信
脚本：村尾昭
企画：俊藤浩滋、矢部恒
撮影：星島一郎
* 音楽：津島利章

主題歌：菅原文太が熱唱

主題歌『新宿の与太者』は、菅原文太自身も作詞に参加し、熱唱している。アサヒミュージックパックとテイチクレコードから発売された。

同時上映：梅宮辰夫主演作との2本立て

同時上映作品は、『侠客の掟』（再映、主演：梅宮辰夫、監督：鳥居元宏）であった。当時としては一般的な2本立て上映形態がとられていた。

作品の評価と位置づけ

『新宿の与太者』は、現代やくざ映画の中でも高い人気を誇る作品の一つであり、その後の現代任侠アクション映画にも大きな影響を与えた。昭和レトロな雰囲気と、痛快なアクション、そして男たちの生き様を描いたストーリーは、現代においても多くの観客を魅了し続けている。

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