新居善太郎

新居善太郎（あらい ぜんたろう）

新居善太郎は、1896年1月16日に生まれ、1984年1月12日に没した日本の内務官僚です。官選の府県知事を務めたほか、公園緑地行政に深く関わりました。その生涯は、日本の行政と社会基盤の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと初期のキャリア

新居善太郎は、栃木県足利市で染料商を営む新居倉造の四男として誕生しました。佐野中学校、第一高等学校を経て、1921年6月に東京帝国大学法学部法律学科（英法）を卒業しました。翌年の1922年2月には内務省に入省し、東京府属として内務部庶務課に配属されました。同年11月には高等試験行政科試験に合格し、官僚としてのキャリアを本格的にスタートさせました。

内務官僚としての活躍

1923年3月、新居は広島県佐伯郡長に就任し、地方行政の経験を積みました。1926年5月には復興局建築部に事務官として勤務し、その後、同局建築部庶務課長を務めました。この時期には、市街地建築物法の法文案を起草し、土地区画整理事業の実施に尽力するなど、都市計画の基礎を築きました。

その後、内務事務官として土木局に勤務し、斎藤実総理の内閣総理大臣秘書官、兼文部大臣秘書官を歴任しました。1934年には内務書記官・土木局道路課長、1936年には同河川課長となり、河原田稼吉大臣の内務大臣秘書官、大臣官房人事課長も兼務しました。

1938年11月には厚生省社会局長兼臨時軍事援護部長に就任し、社会福祉行政にも携わりました。1940年8月には鹿児島県知事、1944年には京都府知事、1945年には大阪府知事を歴任しました。

戦後の活動と公園緑地行政への貢献

1946年1月に大阪府知事を退任し、同年9月から1951年8月まで公職追放となりましたが、その後、新居は公園緑地行政の分野でその手腕を発揮しました。日本公園緑地協会会長として全国の公園緑地の拡大を推進し、公園緑地管理財団初代理事長として公園緑化を指導しました。また、道路緑化保全協会会長として道路の緑化にも尽力しました。

さらに、日本万国博覧会政府出展「日本庭園」、国営武蔵丘陵森林公園、沖縄国際海洋博覧会の記念公園などの基本計画構想策定委員長を務め、国営昭和記念公園建設の基本問題懇談会座長も務めるなど、数々のプロジェクトで指導的な役割を果たしました。

青少年育成と社会貢献

新居は、次世代を担う青少年の育成にも強い関心を抱いていました。社会福祉法人の恩賜財団母子愛育会の会長を長く務め、その他、全国防災協会会長、地方財政審議会会長など、多岐にわたる分野で社会貢献活動を行いました。

1982年には、郷里である足利市の名誉市民に選ばれました。

家族と著作

新居の妻は、元日本銀行理事麻生二郎の五女である菊枝です。二人の間には長男、次男、長女、次女がいます。

著作としては、1929年に復興局から出版された『市街地建築物法講義』や、内政史研究会が編纂した『内政史研究資料』第228集～第245集に収録されている「新居善太郎氏談話速記録」などがあります。

新居善太郎は、内務官僚としての行政手腕に加え、公園緑地行政の発展、青少年育成など、幅広い分野で社会に貢献した人物として、その功績は今も語り継がれています。

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