新幹線鉄道保有機構

新幹線鉄道保有機構について

新幹線鉄道保有機構（しんかんせんてつどうほゆうきこう）は、1987年に設立された日本の特殊法人であり、1991年に解散した機構です。この機構の主な目的は、日本国有鉄道（国鉄）が保有していた新幹線鉄道施設を一括管理し、その運営を安定させることにありました。具体的には、東北新幹線、上越新幹線、東海道新幹線、山陽新幹線に関連する鉄道施設を保有し、それらを現在のJR本州三社に貸し付けるという役割を果たしていました。

設立の背景

1987年、国鉄の分割民営化が進む中で、「新幹線鉄道保有機構法」に基づき設立されました。この際、旅客鉄道株式会社への経営基盤の均衡化を図るとともに、新幹線利用者の負担の適正化を目指していたのです。新幹線鉄道保有機構は、当初は国が運営する特殊法人として、新幹線に関連する各種施設を保有し、JR各社への合理的な貸し付けを行っていました。

事業運営

機構は1987年から1991年まで、元々国鉄が運営していた新幹線鉄道施設を一元的に管理していました。これは新幹線の運営を安定化させ、新幹線の整備や経営が各JR会社にとって円滑に行えるようにするものでした。当初はこれらの施設は30年間保有され、30年後の譲渡が予定されていましたが、民営化後のJR各社の業績が非常に良好になったことで、その運営方針に変化が生じていきました。

解散の経緯

1990年代に入ると、運輸省での検討が進行し、東京証券取引所からの懸念も寄せられました。この内容は、新幹線鉄道保有機構が収益の調整弁として恣意的に利用される恐れがあること、また譲渡条件が未定であることから、JR各社への譲渡を行う方が投資家保護の観点から適当だというものでした。その結果、新幹線鉄道保有機構は解体される方向に進み、1991年10月に正式に解散しました。

解散後、譲渡された新幹線施設の資産総額は9兆1,767億円とされ、JR東日本、JR東海、JR西日本にそれぞれ配分されました。これにより、これまでの鉄道整備基金が整備新幹線の建設財源として活用されることになりました。

経営者からの評価

新幹線鉄道保有機構に対する評価は、賛否が分かれます。JR東日本の元会長である松田昌士は、「新幹線保有機構は固定的な金額で運営できたため、安定した経営が可能だった」と評価しています。一方で、国鉄分割民営化に携わった葛西敬之氏は、この制度が様々な欠点を抱えていることを指摘しており、特にリース料金の設定や施設の管理に関する問題点を挙げています。特に、新幹線の設備が年間の経営に悪影響を及ぼす要因となったことが語られています。

結論

新幹線鉄道保有機構は、国鉄の改革と日本の鉄道運営にとって重要な役割を果たしましたが、経営者や専門家からの意見を見ると、制度には多くの問題点が存在していたことも浮かび上がります。この機構が果たした役割や影響を振り返ることは、今後の鉄道運営のあり方について考える上でも大いに意義のあることと言えるでしょう。

もう一度検索