葛西敬之

葛西敬之：国鉄改革を牽引した実業家

葛西敬之（かさい よしゆき）は、1940年10月20日に兵庫県明石市で生まれ、2022年5月25日に81歳で逝去した日本の実業家です。彼は、東海旅客鉄道（JR東海）の代表[[取締役]]社長、代表[[取締役]]会長、代表[[取締役]]名誉会長を歴任し、同社の発展に大きく貢献しました。また、学校法人海陽学園の理事長も務め、教育分野にも尽力しました。

生い立ちと国鉄入社

東京都立西高等学校を経て東京大学法学部に進学。1963年に卒業後、日本国有鉄道（国鉄）に入社しました。その後、ウィスコンシン大学マディソン校に派遣され、1969年に経済学修士号を取得しました。

国鉄改革とJR東海

国鉄時代には、静岡鉄道管理局や仙台鉄道管理局で総務部長を歴任し、本社では経営計画室主幹、職員局次長を務めました。労働組合対策に力を注ぎ、松田昌士、井手正敬と共に「国鉄改革3人組」として、国鉄の分割民営化に尽力しました。

1987年、国鉄が分割民営化され、JR東海が発足すると、同社の取締役総合企画本部長に就任。その後、副社長、社長、会長、名誉会長を歴任し、28年間にわたりJR東海の経営を牽引しました。2020年にJR東海の役職を全て退き、経営の第一線から退きました。

新幹線遅延問題と政治観

2000年の東海豪雨の際、東海道新幹線の無理な運転続行により、大規模な遅延が発生。葛西は当初「正常な運行だった」と発言し批判を浴びましたが、後に謝罪しました。

政治観としては、国家公安委員会の定例委員会で、インターネットを利用した市民運動について、従来のメディアに抑圧された国民の声であるとの見解を示しました。右派系市民グループを「極端な民族主義・排外主義」ではないと擁護し、左翼運動についてもテロリスト化の可能性に言及しました。

スキャンダルとエピソード

1991年と1992年には、不倫疑惑や、不倫相手の警備費用をJR東海が負担していたと報じられました。

また、国鉄入社の動機は、学生証を落とした際に、荻窪駅の助役から「東大出身なら国鉄での出世が早い」と勧められたことだったと自著で述べています。

その他

葛西は、東京大学、皇学館大学、名城大学などの客員教授や特別招聘教授を務め、産経新聞や読売新聞でコラムを連載するなど、多方面で活躍しました。財界を代表する「親米保守」の論客であり、トヨタ自動車、JR東海、中部電力の共同出資による全寮制男子校海陽学園の理事長も務めていました。

主な役職と受賞

1987年：東海旅客鉄道株式会社（JR東海）取締役総合企画本部長
1990年：JR東海 代表[[取締役]]副社長
1995年：JR東海 代表[[取締役]]社長
2004年：JR東海 代表[[取締役]]会長
2014年：JR東海 代表[[取締役]]名誉会長
2000年6月：在名古屋フィンランド名誉領事（ - 2021年1月）
2006年：国家公安委員（ - 2011年）
2006年：政府の教育再生会議委員
2011年：政府の東京電力に関する経営・財務調査委員会委員
2011年：原子力損害賠償支援機構運営委員会委員
2011年：内閣府宇宙政策委員会委員長
2013年：正論大賞受賞
2014年：旭日大綬章を受章

著書

『人生に座標軸を持て-自分の価値は自分で決める』（1999年）
『未完の「国鉄改革」-巨大組織の崩壊と再生』（2001年）
『国鉄改革の真実 - 「宮廷革命」と「啓蒙運動」』（2007年）
『明日のリーダーのために』（2010年）
『飛躍への挑戦 東海道新幹線から超電導リニアへ 』（2017年）

葛西敬之は、その生涯を通じて日本の鉄道事業の発展に貢献し、多くの人々に影響を与えました。彼の功績は、後世に語り継がれるでしょう。

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