新庄直頼

新庄直頼（しんじょう なおより）

新庄直頼は戦国時代から江戸時代前期にかけて活躍した武将であり、常陸麻生藩の初代藩主です。彼は「新三郎」とも呼ばれ、官位は従五位下駿河守を拝命し、剃髪の後は駿河入道晟珊と名乗りました。直頼の弟は直忠です。

生涯のあゆみ

天文7年（1538年）、近江国坂田郡の朝妻城主新庄直昌の長男として誕生しました。母については久我大納言某の娘であるとの記録があります。天文18年（1549年）、11歳の時に父が戦死し、家督を継ぎました。若い頃は浅井長政に仕官し、姉川の戦いでは彼の軍の一員として戦いましたが、やがて織田信長の配下に移りました。

元亀元年（1570年）、直頼は姉川の戦いに参加し、浅井側の陣営で戦闘を行いました。しかしながら、1571年には織田方に降伏し、朝妻城を明け渡しています。織田家に仕官した後も、彼は豊臣秀吉の家臣として重要な役割を果たしました。

特に、天正11年（1583年）には賤ヶ岳の戦いに従軍し、同時に坂本城を守備しました。その後、近江大津城に移封され、秀吉の側近としてしたがうことになります。文禄元年（1592年）には文禄の役にも参加し、朝鮮に渡航しました。

文禄3年（1594年）には肥前名護屋城において明使の接待役を務め、続けて大和宇陀城主に転任した後、摂津高槻城に移封されます。秀吉の死後、関ヶ原の戦いでは西軍として戦いました。この戦争では筒井定次の留守部隊を押しのけ、伊賀上野城を占拠しましたが、後に和睦により退去しました。

戦後、直頼は改易となり、彼とその息子は蒲生秀行の監視下に置かれましたが、慶長9年（1604年）には徳川家康に呼ばれ赦免されます。以後、常陸国に領地を与えられ、行方郡麻生にまたがる土地で新たに藩を立てました。

慶長13年（1608年）には法印に叙され、武士としてだけでなく宗教界でも名を成しました。彼は晩年、宮内卿を称し、慶長17年（1613年）に75歳で亡くなります。直頼の死後、直定が家督を継ぎ、新庄家を支えていきました。

直頼の人物像と影響

新庄直頼は、文武に優れた人物であり、豊臣秀吉や徳川家康と個人的な関係を築くことができた有能な武将でした。彼の戦に挑む姿勢や忠誠心、官位の取得などは、当時の武士たちに一つの模範となったと考えられます。直頼の生涯を通じ、彼はさまざまな時代の変遷の中でも確固たる地位を築きあげました。今もなお彼の存在は近江の歴史に刻まれ、多くの人々に語り継がれています。

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