新府駅

新府駅：歴史と自然が織りなす山梨の駅

山梨県韮崎市中田町中條にあるJR東日本中央本線の新府駅は、単なる鉄道駅としてだけでなく、歴史と自然が織りなす独特の魅力を持つ場所です。その歴史は、第二次世界大戦末期、本土決戦に備えた国中枢機関の移転計画にまで遡ります。この計画の一環として中央線の輸送力強化が図られ、新府信号場が設置されました。当初から旅客扱いも行われていたこの信号場は、その後、駅の機能を拡充し、発展を遂げていきます。

駅の歴史：信号場から無人駅へ

1945年6月10日、運輸通信省により新府信号場として誕生した新府駅は、1949年に日本国有鉄道に移管されます。その後、1970年の複線化に伴い加速線が廃止、1972年には旅客営業のみを行う無人駅へと昇格しました。1987年の国鉄分割民営化によってJR東日本に移管され、2014年には東京近郊区間に編入、そして2017年にはICカードSuicaの利用が可能になるなど、現代的な利便性の向上も図られています。

特に注目すべきは、加速線の歴史です。当初、ホーム延長方向に直線状に敷設されていた加速線は、有効長延伸のため本線に沿ってカーブする線形に変更されました。現在もその名残とも言える築堤の一部が確認できます。航空写真からも、その改修工事の様子をうかがい知ることができます。

駅の構造：シンプルながらも機能的な無人駅

新府駅は、25‰の勾配上に位置する地上駅で、相対式ホーム2面2線を有しています。ホームは嵩上げされておらず、かつて存在した加速線（下り列車専用）の名残を感じさせる構造となっています。ホーム間の移動は、階段で外部に出て公道を経由する必要があり、駅舎も待合所もないシンプルなつくりです。ホーム上には短い上屋とベンチが設置され、各ホームにはSuica改札機と乗車駅証明書発行機が配置されています。また、2007年には発車メロディーが導入され、利用者の利便性を高めています。

韮崎駅管理の無人駅であるため、駅員は配置されていません。そのため、駅利用者は無人駅特有の簡素ながらも機能的な設備を利用することになります。

駅周辺：歴史と自然の調和

駅周辺には、歴史と自然が調和した風景が広がっています。駅下の道路を西に進むと県道17号、さらに西には国道20号が通り、両道路間には新府城跡があります。駅は黒沢川と釜無川という二つの川に挟まれた凸状の場所に位置し、晴れた日にはホームから林越しに富士山を望むことができます。

利用状況とアクセス

新府駅の1日平均乗降客数は山梨県統計年鑑のデータに基づいて算出されます。周辺には、新府城跡をはじめとした歴史的建造物や自然景観があり、観光客にとっても魅力的な場所となっています。

まとめ

新府駅は、戦時中の歴史的背景と、現代的な利便性を兼ね備えた、独特の雰囲気を持つ駅です。無人駅ながらも、Suica対応や発車メロディーなど、利用者の利便性を考慮した設備が整えられています。また、富士山を望む絶景など、周辺環境も魅力の一つです。歴史と自然を満喫したい方にとって、新府駅はまさに隠れた魅力を持つスポットと言えるでしょう。

もう一度検索