新拾遺和歌集

『新拾遺和歌集』（しんしゅういわかしゅう）は、南北朝時代の貞治年間に成立した勅撰和歌集です。全20巻から構成され、二十一代集の中で19番目に位置づけられています。

成立の経緯

この歌集は、二条為明（にじょうためあき）によって撰集が開始されました。貞治2年（1363年）、室町幕府第2代将軍であった足利義詮（あしかがよしあきら）の奏請により、後光厳天皇（ごこうごんてんのう）から綸旨（りんじ）が下され、勅撰和歌集としての編纂が正式に決定しました。翌貞治3年（1364年）4月20日には、四季奏覧（しきそうらん）が行われました。しかし、同年10月に為明が急逝したため、編纂事業は頓阿（とんあ）が引き継ぎ、同年12月に完成に至りました。

構成

『新拾遺和歌集』の部立（ぶだて）は以下の通りです。

春（上下）
夏
秋（上下）
冬
賀
離別
羇旅（きりょ）
哀傷
恋（一、二、三、四、五）
神祇
釈教
雑（上、中、下）

特に、雑下の部では、『拾遺和歌集』の構成を模倣し、雑体歌（ぞうたいか）が収録されている点が特徴的です。

特徴

歌風は全体的に平明であり、わかりやすい表現が用いられています。また、恋や雑の部に僧侶の歌が多いのは、頓阿が編纂を引き継いだ影響と考えられています。

『新拾遺和歌集』は、南北朝時代の歌壇の動向を知る上で貴重な資料であり、二条派の歌風や、頓阿の個性などが反映された和歌集として、文学史上重要な位置を占めています。

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