新東京プロレス

新東京プロレスとその周辺：幻のFFF構想を追う

新東京プロレスは、日本のプロレス界に短期間ながらも鮮烈な足跡を残した団体です。その設立から解散、そして幻の統一機構FFF（ファイティング・フォー・フューチャー）構想まで、その波乱に満ちた歴史を紐解きます。

東京プロレスの誕生

1994年10月、石川敬士、嵐、坂下博志がWARを退団し、東京プロレスを設立しました。団体名は「一度聞いたら忘れない」というコンセプトのもと、首都名とプロレスを組み合わせたシンプルなものでした。旗揚げ戦は同年12月7日に石川産業展示館で開催され、元NOW所属選手ら8人を擁してスタート。青柳政司率いる誠心会館が記者会見に乱入するなど、初期から話題を呼びました。

1995年には、石川が大仁田厚の引退試合の対戦相手に名乗りを上げたり、TWA認定世界タッグ王座を創設するなど、様々な企画を打ち出しました。また、元プロ野球選手の山之内健一を練習生として入門させるなど、異業種からの人材も積極的に受け入れました。1996年には、高田延彦対アブドーラ・ザ・ブッチャーという異次元対決や、石川と安生洋二による「社長争奪マッチ」などを開催し、話題を集めました。しかし、大物選手の招聘による人件費の高騰が経営を圧迫し、運営は苦戦を強いられました。

FFF（ファイティング・フォー・フューチャー）構想

1996年11月、東京プロレスのオーナーとI.W.A.JAPANを退社した佐藤昭雄が、インディー団体の統一機構を目指す「FFF」を発足させました。この構想には、I.W.A.JAPANを離脱した「真FMW軍」（ターザン後藤、ミスター雁之助、フライングキッド市原）や、WARを退団した「冬木軍」（冬木弘道、邪道、外道）などが参加を表明。さらに、ザ・グレート・カブキらフリー選手や、東京プロレスの一部選手、そして「ザ・ゴールデン・カップス」（安生洋二、高山善廣、山本健一）が加わり、一大勢力となりました。

しかし、このFFFの動きに対し、WARは対抗する形でプロレス連合會を発足。インディー団体の統一機構は分裂の様相を呈しました。1996年12月7日には、両国国技館大会が東京プロレス主催として最後の興行となり、翌年以降はFFFの下で興行が予定されていました。しかし、石川ら一部の東京プロレス所属選手はFFFへの不参加を表明し、カブキも大会後にFFFを離脱するなど、早くも足並みが乱れました。そして、FFFは資金調達の失敗により、旗揚げ戦を開催する前に解散するという前代未聞の事態に陥りました。

新東京プロレス石川一家の誕生と終焉

FFF解散後、石川はWARに参戦し、自らの軍団名を新東京プロレスと命名しました。1997年1月には、I.W.A.JAPANの興行に乱入し、軍団名を新東京プロレス石川一家と改称。同年3月には初の自主興行を開催しましたが、観客動員の低迷により規模は縮小。1998年1月、石川の引退とともに解散しました。

TWA認定世界タッグ王座とジュニアフラッグ王座

東京プロレス時代には、TWA認定世界タッグ王座とジュニアフラッグ王座という二つのタイトルが存在しました。TWA認定世界タッグ王座は、通称「3億円ベルト」と呼ばれる豪華な王座で、石川隆士&安生洋二組が初代王者となりました。ジュニアフラッグ王座は、ジュニアヘビー級選手を対象とした王座で、折原昌夫が初代王者となりました。しかし、FFFの解散とともに、これらのベルトやフラッグの所在は不明となっています。

CCWカナディアンヘビー級王座

CCWカナディアンヘビー級王座は、カナダのCCWが管理、認定していた王座で、1997年8月に奥村茂雄が獲得し、新東京プロレスに定着しました。

新東京プロレスは短命な団体でしたが、その設立、FFF構想への参加、そして解散まで、日本のプロレス界に様々な話題を提供しました。その歴史は、インディープロレスの隆盛と混沌を象徴する出来事として、今も語り継がれています。

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