新桃太郎伝説

新桃太郎伝説

『新桃太郎伝説』は、ハドソンが1993年にスーパーファミコン向けに発売したRPGです。監督はさくまあきら氏、イラストは土居孝幸氏、音楽はサザンオールスターズの関口和之氏が担当しました。

概要

本作は、ファミリーコンピュータ版『桃太郎伝説』の6年後の世界を舞台とした正当な続編であり、PCエンジン用ソフト『桃太郎伝説II』のストーリーやシステムに大幅な変更を加えた内容となっています。従来のシリーズと比較して、ギャグ要素は控えめに、勧善懲悪の基本は守りつつ、シリアスで重厚な物語が展開されます。シリーズの中で、登場人物が命を落とす展開が描かれたのは本作のみです。

当初は『桃太郎伝説』と『桃太郎伝説II』を組み合わせた『桃太郎伝説I&II』として開発が始まりましたが、『II』の制作で削られたシナリオの完全版化やグラフィックの改良を行った結果、容量が大幅に増加したため、『II』のリニューアル移植という方針に転換しました。当時さくま氏が温めていた『桃太郎伝説III』のシナリオを取り入れる形で開発が進められ、本作のシナリオは『桃太郎伝説II&III』とも言える内容になっています。

基本的なシステムは前作から引き継がれており、キャラクターレベルを「段」、MPを「技」と呼ぶ点などは共通しています。開発中のスローガンであった「敵キャラクターそれぞれに個性的な特殊能力を」という方針に基づき、敵キャラクターの攻撃バリエーションは非常に豊富です。開発時のバランス調整役として、後に「桃太郎電鉄シリーズ」の登場キャラクター「コマルン」のモデルになった小丸良人氏が携わっています。

さくま氏によれば、本作には大乗仏教と小乗仏教の対立という隠れたテーマがあり、作中には仏教用語に由来するキャラクターや地名が多数登場します。

パッケージの題字は、黒澤明映画の題字を手がけた書家の今井凌雪氏が揮毫しました。また、同社の『天外魔境』シリーズで美術監督を務める久保久氏がグラフィック担当スタッフとして制作に参加しています。

ストーリー

桃太郎が仲間と共に鬼が島のえんま大王を懲らしめてから6年後。改心したえんまは、鬼と人間との共存を訴えていましたが、鬼が島の地下・地獄に潜む鬼族の王・伐折羅王（ばさらおう）の腹心であるカルラの策略により、鬼の掟に背いた罪で奈落の底へ幽閉されてしまいます。カルラの進言により、伐折羅王は以前に桃太郎がえんまの元から救出したかぐや姫を再び手中に収めることを企み、息子・ダイダ王子とカルラを月の宮殿へと向かわせます。

おじいさんとおばあさんの元に戻っていた桃太郎は、かぐや姫の危機を知り、月行きの牛車に飛び乗って月の宮殿へ向かいますが、ダイダ王子との戦いに敗れて全ての力を奪われ、月から追い出されてしまいます。

傷つき倒れた桃太郎は、生家で目を覚まし、かぐや姫を救い、人間界に迫る危機を阻止するため、再び旅に出ることを決意します。

システム

本作には、以下の5つの新システムがあり、これらは「5大システム」と呼ばれています。

1. タクティカル・ウェザー・バトル
戦闘シーンに「天気」の概念が導入され、天気の種類によってキャラクターに特殊な効果が及ぼされます。
2. アクティブ・ウォーキング
村やフィールドマップで、仲間キャラクターが自由に歩き回ります。キャラクターごとに独特の動き方の癖が設定されています。
3. ヴァリアブル・メッセージ
ストーリーの重要な場面や強敵との戦闘で、連れているキャラクターが固有のセリフを喋ります。
4. ベベルビュウ・マップ
フィールドマップがスーパーファミコンの拡大縮小機能を活用した斜め上からの見下ろし視点で表示されます。
5. スーパーインポーズ
* 戦闘画面にメッセージウインドウが表示されず、文字は背景に直接字幕で表示されます（ON/OFF切り替え可能）。

その他、絶好調システム、人気度システム、城の建築など、様々な新システムが搭載されています。

登場キャラクター

桃太郎、イヌ、サル、キジ、金太郎、浦島太郎、夜叉姫、銀次、あしゅら、えんま大王、風神・雷神など、個性豊かなキャラクターが登場します。

VHSビデオ特典

本作の予約特典として、実写ドラマを収録したVHSビデオテープ『新桃太郎伝説 七夕の村は激戦区』が付属しました。内容はゲーム本編とは異なり、ギャグ要素が強い作品となっています。

関連情報

サウンドトラックCDやガイドブック、小説などが発売されています。

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