新潟県道589号小千谷長岡線

新潟県道589号小千谷長岡線：地域を繋ぐ復興の道

新潟県道589号小千谷長岡線は、新潟県小千谷市から長岡市に至る一般県道であり、地域住民にとって欠かせない生活道路です。かつては国道17号の一部として、小千谷・長岡両市境の信濃川右岸側を経由する重要な役割を担っていました。

概要

この県道は、旧国道17号の一部区間を担っており、国道351号や291号と共に、両市を結ぶ役割を果たしています。しかし、豪雨や台風などの際には土砂崩れの危険性が高く、頻繁に通行規制が行われていました。連続雨量が一定値を超えると通行止めとなる措置が取られ、交通の大きな障害となっていました。そのため、国道17号は信濃川左岸を大きく迂回する小千谷バイパスへとルートが変更され、旧道区間は新潟県に移管されました。

長岡東バイパスから魚沼市方面へ南下すると、越の大橋東詰手前で片側1車線に減少します。国道17号はそのまま信濃川を渡りますが、小千谷長岡線はここで左に分かれ、信濃川の右岸沿いを走ります。この区間は、右手には信濃川、左手には石坂山の西斜面が迫る、やや狭隘な道幅となっています。また、石坂山の麓にはJR上越線の榎トンネルが通っています。

小千谷市に入ると、横渡交差点で国道291号に接続し、ここが小千谷長岡線の起点となります。そのすぐ先には、小千谷バイパスの薭生ICがあり、以南は国道291号として小千谷駅方面へと続いています。小千谷バイパスと比較して距離が短く、小千谷市の東側市街や長岡市山古志地区へのアクセスに便利であるため、バイパス開通後も交通量は比較的多いです。

路線バス（長岡 - 小千谷・急行 長岡 - 十日町）もこのルートを経由しており、新潟県中越地震後も重要な道路として機能しています。長岡市妙見堰付近では、JR上越線の下り線が榎トンネルから出てくる箇所にロックシェッドが設けられています。

新潟県中越地震からの復興

2004年10月23日に発生した新潟県中越地震により、長岡市妙見町地内の石坂山で大規模な土砂崩れが発生し、小千谷長岡線の道路施設は完全に破壊されました。崩落した土砂は信濃川にまで流れ込み、通行中の車両が巻き込まれるという甚大な被害をもたらしました。この災害は全国的にも大きく報道され、中越地震の象徴的な被災現場となりました。

地震発生後、小千谷市浦柄から妙見町にかけての区間は全面通行止めとなり、復旧作業は困難を極めました。しかし、小千谷・長岡両市を結ぶ幹線道路が途絶えたことで、小千谷バイパスの交通量が著しく増大し、慢性的な交通渋滞が発生しました。そのため、県と両市は早期復旧に向けて協議を行い、2005年10月に原形復旧の方針を決定しました。

復旧工事では、崩落した土砂の撤去、斜面のコンクリート保護、新経路の建設などが行われ、2007年3月24日に通行止めが解除されました。これにより、交通の流れが円滑化し、地域住民の生活に大きな改善をもたらしました。また、県と両市は震災の教訓を後世に伝えるため、現場近くに慰霊碑や公園などを有する「妙見メモリアルパーク」を建設し、2011年10月23日に開場しました。

路線データ

起点：小千谷市大字横渡字砂田（横渡交差点＝国道291号交点）
終点：長岡市妙見町字南田（妙見堰交差点＝国道17号交点）

路線状況

バイパス：国道17号（小千谷バイパス）が信濃川左岸側を迂回
別名・通称：三国街道、旧17号

通過する自治体

小千谷市
長岡市

交差する道路

小千谷市：国道17号小千谷バイパス、国道291号
長岡市：国道17号小千谷バイパス

小千谷長岡線は、地震からの復興を象徴する道路として、地域住民の生活と経済を支え続けています。

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