新田政義

新田政義の生涯と新田氏の運命

新田政義（にった まさよし）は、鎌倉時代中期に活躍した武将であり、新田氏の長男として特に重要な立場にありました。彼は新田義房の子であり、新田宗家の4代目当主として歴史に名を刻んでいます。また、新田義貞の高祖父にあたります。

経歴

政義は13歳という若さで新田氏の総領となりましたが、これは父である義房が34歳の若さで亡くなったため、祖父である新田義兼の後見を受ける必要があったからです。政義の曾祖父であり、当時高齢の新田義重も存命で、彼の後見役としての役割も果たしていました。建仁二年（1202年）には義重が、元久四年（1206年）には義兼が相次いで亡くなると、祖母の新田尼が政義の後見を引き継ぎました。

しかし、母方の祖母が所有していた新田荘の大部分を岩松時兼に相続させたため、政義は家督を相続した時にはそれほど広大な所領を持っていなかったとされています。そんな中で、政義は執権北条氏との姻戚関係を持つ有力な御家人、足利義氏の娘を妻に迎えました。

没落事件

政義の没落は、仁治三年（1242年）に始まります。幕府に預けられていた囚人が脱走し、その責任を問われて三千疋を納めることになりました。さらに、寛元二年（1244年）6月、政義が京都で大番役をしている際には、無許可で昇殿と検非違使への任官を求めてしまいます。この無許可の任官は幕法に違反する行為であり、朝廷としても幕府との問題を恐れ、要求は拒否されました。

政義は幕府や朝廷の許可を得ることなく出家し、大番役を辞めて新田荘に帰りました。一般的には、無許可での任官や出家は所領を没収されるような重罪とされますが、妻の実家である足利氏の働きかけもあったのかもしれません。結果として、彼は所領の一部と惣領職を失うにとどまりました。こうして、政義は円福寺を創建し、隠居生活を送りました。

新田氏の惣領職は、庶家の世良田義季と岩松時兼の間で分けられ、彼らが「半分惣領」として新田氏を率いることになりました。正嘉元年（1257年）に政義は71歳で亡くなり、長男の政氏が後を継ぎました。彼の墓は、自己が開基した群馬県太田市の円福寺にあります。

新田政義の軽率な行動は新田氏の没落を招くことになり、結果として新田本宗家は一地方の御家人へと成り下がってしまったのです。彼の生涯は、武士社会の中での家系の興亡を象徴するものと言えるでしょう。

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