新疆派

新疆派とは

新疆派とは、中華民国時代に新疆省を支配していた軍閥を指します。他の軍閥とは異なり、新疆派の指導者はほぼ省外出身の人物によって占められていた点が特徴です。

成立の経緯

1911年の辛亥革命時、新疆でも革命派が反乱を起こし、当時の新疆巡撫であった袁大化は迪化（現在のウルムチ）から逃亡しました。しかし、彼から後任都督に推薦された楊増新が反乱を鎮圧し、指導者としての地位を確立します。楊増新は、数少ない袁世凱の皇帝就任を支持した人物の一人でした。

その後、護国戦争中に雲南派の指導者蔡鍔に近い士官を追放、袁世凱の死後は北京政府や動乱から新疆を遠ざけ、孤立、中立政策を維持しました。この時期、軍事的・政治的役職を歴任した馬福興と馬紹武は、両者とも回族でした。

楊増新の暗殺と金樹仁の圧政

楊増新は1928年に南京国民党政府からも新疆省長として認められましたが、直後に樊耀南によって暗殺されます。その後、甘粛省出身の金樹仁が実権を握りましたが、彼の圧政に対し1931年にイスラム教徒が反乱を起こし、さらに馬家軍の馬仲英がこれを支持して新疆に侵入しました。各地で反乱が相次ぎ、金樹仁は第一次東トルキスタン共和国を含む反乱勢力との戦闘を繰り返しました。

盛世才の台頭とソ連の影響

1933年、金樹仁は満州出身の盛世才によって追放されました。盛世才は当初、楊増新や金樹仁の配下ではなく、郭松齢の士官であり、郭松齢と共に国民軍に亡命していました。彼は1930年後半に新疆省臨時督弁に推挙されましたが、内乱の収まらない国民党に見切りをつけ、1934年にソビエト連邦に接近します。ソ連の支援を受けた盛世才は1937年に馬虎山に勝利し、ソ連の保護下となった新疆は共産党にとって安全な地帯となりました。

国民党への寝返りと新疆派の終焉

1941年、バルバロッサ作戦の報を受けた盛世才は国民党に寝返ることを決意し、ソ連と共産党の顧問を追放しました。しかし、蔣介石はスターリンとの交渉を目論む盛世才を信頼せず、1944年に農林部長に任命することを名目に新疆から離任させ、新疆派の統治は終焉を迎えました。国民党の直接統治もうまくはいかず、その後発生した第二次東トルキスタン共和国建国の勢いを止めることはできませんでした。

新疆派の歴史は、外部からの影響を受けながらも、独自の勢力を維持しようとした地方軍閥の姿を浮き彫りにしています。ソ連との関係や、内部の民族対立など、複雑な要素が絡み合ったその統治は、現代の中央アジア地域にも影響を与えていると言えるでしょう。

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