新疆省

新疆省の歴史と政治的変遷

新疆省（しんきょうしょう）は、清末から中華人民共和国が成立するまでの時期間にわたって存在した省で、現在の新疆ウイグル自治区にあたります。新疆は、中国の西端に位置し、ユーラシア大陸の中心にあたる重要な地域です。この地域の歴史は複雑で、様々な民族や文化が交差する場所でもあります。

設立の背景

新疆の歴史は、主に清朝の征服から始まりました。乾隆帝時代におけるジュンガル征服によって、旧ジュンガルの領域は清朝の支配下に入り、タリム盆地やイリ盆地などがイチェ・ジェチェンとして知られるようになりました。清朝は新たに設置したイリ将軍府を通じて、この地域の軍政を行いました。ここでの統治は、ムスリム社会の有力者に地方行政の職を与える形式で進められました。

1860年代にはヤクブ・ベクの乱が起こり、これが清朝にとっての大きな脅威となりました。この出来事を受けて清は1875年、左宗棠を派遣し、新疆を再び掌握しましたが、この経緯により新疆の自治は大きく制約されていきます。最終的には1884年に新疆省が設立され、内地と同様の省制が導入されました。

清朝末期と民国期

民国の時代に入ると、130年以上続いた清朝の支配が終わるとともに、地域の政治は大きく変わりました。1911年の辛亥革命によって、清朝の政治機構が崩壊し、新疆の政治は急速に変化します。最初の省長には漢人の袁大化が任命されるものの、軍事力と政治経験を持つ楊増新が実権を握ります。

その後、彼は独裁的な政権を築き、新疆の実権を手中に収めます。彼の政権下では、ソ連との経済的な関係を強化し、中国内地との疎遠化も進行しました。盛世才政権が成立すると、さらにソ連との結びつきが強まり、ソ連からの借款供与も行われました。中国国民党の影響を受けて、1944年には天山山脈以北を事実上の支配下に置く東トルキスタン共和国と連携することもありました。

中華人民共和国と新疆ウイグル自治区の成立

国共内戦が終結した1949年、人民解放軍が新疆に進駐し、新疆は中国共産党の支配下に入ります。その後1955年には民族区域自治が適用され、新疆ウイグル自治区が設立されました。この新体制は、地域の民族問題を考慮したものでした。

行政区画と経済

新疆省の行政区画には道や県が設置され、様々な改編が行われました。1928年の統計では、新疆の人口は約255万人で、その中でウイグル人が約70%を占めていたことが示されています。経済的にも、楊増新の時代には対ソ貿易が重要な要素となり、産業の発展が重要視されました。

中華民国の後の状況

中華民国政府が台湾に移転した後も、新疆省の主権を保持し続ける施策が取られていましたが、実際の統治は困難でした。数十年間に渡り、その存在意義は薄れていき、最終的には1992年に新疆省政府が廃止されました。

このように、新疆省の歴史は非常に豊かであり、多民族が共存する地域としての軌跡が見られます。

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