新納忠之介

新納忠之介の生涯と功績

新納忠之介（にいろ ちゅうのすけ、1869年1月7日 - 1954年4月13日）は、日本の彫刻家として多大な業績を残した人物です。彼の号は古拙で、2,631体の仏像などの文化財修理に従事し、現在の文化財修理の基礎を築きました。

生い立ち

新納は薩摩国鹿児島に生まれ、三州義塾に通いながら成長しました。17歳の時には海軍に入隊しようと上京し、当初は三田英学校、後に東京府立第一尋常中学校へと進みました。1889年には東京美術学校（現在の東京藝術大学）の彫刻科に入学し、その後の彫刻家人生の基盤を形成しました。在学中は高村光雲から教えを受け、皇居前広場の「楠公」の制作にも参加しました。

修理活動の開始

1895年には東京美術学校の助教授となり、1897年には中尊寺の仏像修理を担当することになります。このころから彼は本格的に仏像修理に専念し、1898年には東京美術学校を辞職し、日本美術院の創設に参加しました。1906年には日本美術院第二部の設立に関わり、文化財修理の専門部門を管理することとなります。

海外活動と影響

新納は1909年にアメリカのボストン美術館に招かれ、1年間にわたり仏像の修復に関わりました。更に1910年にはイギリスに渡り、日英博覧会の美術館工事にも参加しました。その後、古社寺保存会と国宝保存会の委員に任命され、貴重な彫刻の国宝指定審査に重要な役割を果たしました。

日本美術院での地位

1914年に岡倉天心が没した後、日本美術院は再編されました。この時、新納は第二部の院長に就任し、1946年までその地位にありました。この頃には、彼の彫刻修理の技術が広まり、評価されるようになりました。

亡くなるまでの活動

1952年には奈良国立博物館の評議員に任命され、その後も文化財修理の重要な役割を担い続けました。1954年4月13日に自宅で逝去。享年86歳でした。彼の死後も、その業績は数多くの人々に評価されています。

岡倉天心との関係

新納忠之介にとって岡倉天心は、仏像修復の道を決定づける存在でした。彼は天心を生涯の師として仰ぎ、その教えをしっかりと受け継いで多くの修理事業に取り組みました。明治34年からの奈良の仏像修理事業を通じ、彼は日本の文化財修理の先駆者としての地位を確立しました。

作品と功績

新納忠之介の主な作品として「百済観音模造」があり、東京国立博物館や大英博物館に所蔵されています。彼の活動はJapanese art historyにおいても大きな足跡を残しており、今なお多くの研究や展示が行われています。彼の残した記録は現代の文化財修理の基礎を支えていると言えるでしょう。

新納忠之介は生涯を通じて多くの文化財に寄与し、その影響力は今もなお続いています。

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