新興写真研究会

新興写真研究会について

新興写真研究会（しんこうしゃしんけんきゅうかい）は、かつて存在した日本の写真家団体で、木村専一がその中心人物となり、1930年に結成されました。この団体は新興写真の動向を広めるための重要な拠点となり、その存在は日本の写真史において特筆すべきものです。

結成の背景

新興写真研究会の基盤は、1929年に木村が編集主幹を務める雑誌『フォトタイムス』の「モダーンフォトセクション」にあります。このセクションでは、最新の写真の動向が紹介され、多くの写真家たちが新しい表現方法を模索するきっかけとなりました。この動きが、後の新興写真研究会の結成に結びついたと言えるでしょう。

主要メンバー

団体の主要メンバーには、木村専一をはじめ、堀野正雄、渡辺義雄、伊達良雄（1907年-1946年）、古川成俊（1900年-1996年）、光村利弘（1901年-1943年）などが名を連ねています。彼らは日本の写真界においても影響力のある人物であり、この団体での活動によって新興写真の理念を広める重要な役割を果たしました。

研究会の活動

新興写真研究会は、結成と同年の1930年に『新興写真研究』という会誌を発行しました。この誌面では、写真作品やメンバーの論文などが掲載され、多くの情報が分かち合われました。しかし、木村専一が渡欧したことにより、翌年には第3号の発行をもって休刊されることになります。それでも、1930年から1932年にかけて行われた7回の展覧会は、研究会の活動が続いていたことを示しており、1932年まで存続していたことが確認されています。

発刊された会誌の内容

『新興写真研究』の第1号（1930年11月）では、板垣鷹穂や堀野正雄などが論文を寄せ、多数の写真作品が発表されました。第2号（1931年1月）や第3号（1931年7月）でも、木村専一や堀野正雄などが再び執筆し、当時の重要な写真作品が掲載されています。

参加者と運営

新興写真研究会には、木村専一が主幹となり、顧問や賛助顧問、幹事など多様なメンバーが参加していました。顧問には、板垣鷹穂や鈴木重吉、石川寅治などの著名な写真家が名を連ね、幹事や同人には多くの若手写真家が含まれていました。彼らは選挙を通じて役割を決定し、団体を運営していました。

研究会の影響と遺産

新興写真研究会の存在は、後の時代において写真表現における革新を促したとされています。彼らの活動や思想は、日本の写真界に多大な影響を与え、新興写真の概念を文化として定着させる一助となったことでしょう。このように、研究会はただの団体に留まらず、写真史における重要な一ページを飾る存在であったことがうかがえます。

これらの歴史を踏まえ、新興写真研究会は日本の写真界において新たな潮流を生み出した重要な団体として位置づけられており、その影響は今なお色濃く残っています。

もう一度検索