堀野正雄

堀野正雄: 日本の写真家

堀野正雄（ほりの まさお、1907年1月22日 - 1998年12月24日）は、日本の著名な写真家であり、新興写真の発展に寄与した重要な人物です。東京生まれの彼は、父の影響で早くから写真に興味を持ち、製作活動を始めました。

幼少期と教育

堀野は1907年、東京の京橋区で誕生しました。彼の父は印刷と質屋を営んでおり、趣味として高価なカメラを用いて撮影を楽しんでいました。この環境の中で堀野は新しいものに対する興味を植え付けられ、1919年に築地尋常小学校を卒業後、芝中学校に進学しました。この時期からすでに彼は写真に目を向けていました。

写真家としての出発

1923年、彼は舞踊団の公演を撮影し、その結果として高田雅夫舞踊団との関係が始まりました。この経験が彼を舞台写真に引き込む契機となりました。1924年には東京高等工業学校に入学し、そこで写真家・和田精と知り合い、築地小劇場での舞台撮影を行うようになります。堀野はこの小劇場で多くの文化人との交友を深め、写真家としての基盤を築いていきました。

初の個展と松竹キネマ

1927年には卒業と同時に初の個展を開き、以降、松竹キネマに入社し、普通写真部で広報用の写真を担当しました。特に俳優の山内光との出会いは、彼の写真家としての人生に大きな影響を与えました。1929年には国際光画協会の設立に参加し、その後も新興写真研究会の中心メンバーとして活発に活動しました。

1932年の転機

堀野にとって1932年は重要な年でした。この年、彼はアングルを切り替えライカを使用し始め、機械的建造物の撮影に注力します。板垣鷹穂からの指導も受け、彼の作品は新しい表現方法を追求するようになりました。同年には『カメラ・眼×鉄・構成』を発表し、後の写真集と並んで高く評価されています。この作品は日本の近代的な写真表現を代表する一つとされ、今でも重要な位置を占めています。

報道写真家としての活動

1932年からは『婦人画報』などでも仕事をし始め、報道写真家として次第に存在感を高めていきます。しかし、1930年代後半の活動の詳細は不明部分が多いです。1940年には陸軍報道部嘱託として上海に赴任しましたが、この時もデスクワークが主であったと回想しています。

戦後の生活と再評価

1945年に終戦を迎え、上海から帰国した堀野は一時期妻の写真現像店で働きましたが、1949年にはミニカム研究所を設立して経営に専念します。その後、彼の写真家としての活動が忘れ去られる中、1980年代に再評価されることになります。彼の業績は、後の世代によって新たに認識され、展覧会が開かれるなどして多くの人に知られるようになりました。

結論

堀野正雄は、戦前の日本においてプロ意識を持った数少ない写真家の一人でした。彼の作品や思想は、新興写真の発展に寄与し、現在も多くの写真家に影響を与えています。1998年12月、心不全でこの世を去りましたが、彼の写真家としての足跡は今もなお人々の記憶に残り続けています。

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