新規堀用水

新規堀用水について

新規堀用水は、埼玉県久喜市太田地区を流れる農業用水路です。その歴史は古く、明治以前には「新規用水」と呼ばれ、農業用水として利用されていました。この水路は、久喜駅東部地域における人々の生活と密接に関わってきました。

歴史的背景

この地域は、先土器時代から人々が生活しており、新規堀用水の北に位置する高輪寺遺跡からは、当時の遺物も発見されています。紀元前100年頃には稲作が伝わったと考えられており、この水路が農業用水として重要な役割を果たしていたことが伺えます。

江戸時代には、この地域は天領として幕府の支配下にありました。開墾奨励と禁止が繰り返される中で、用水路と排[[水路]]の付け替えが行われ、現在の河川名に残る「堀」や「落」の語は、多くが排[[水路]]として使われていた名残です。元禄6年（1693年頃）の記録には、悪水堀に囲まれた吉羽村の様子が描かれており、用水は新川用水から引かれていました。

しかし、江戸末期から明治にかけて田畑が増え、河川の改修も進んだ結果、用水不足が深刻化しました。明治時代には青毛堀川から水を引き、昭和初期には稲荷台用水も設けられましたが、水不足は解消されませんでした。

新規堀用水の誕生

1954年（昭和29年）に久喜町で下水道工事が認可されたことを契機に、中落堀が用水路として利用されるようになりました。揚水機を設置し、新たな用水路として整備されたのが新規堀用水です。起点は現在の久喜市久喜東2-5付近にあり、そこから東南東方向に流れ、稲荷台用水と合流して中落堀川に排水されています。一部は中堀落にも流れています。1959年（昭和34年）には、その完成を記念する碑が建てられました。

新規堀用水は、主に吉羽地区西側の灌漑に利用されており、多くの支流を持っていました。しかし、都市化が進んだ現代では、支流の多くが埋め立てられ、本流と一部の支流だけが残っています。

現在の状況

現在、新規堀用水の開渠区間の多くは素掘りのまま残されており、土地改良地区として管理されています。また、流域には絶滅危惧種を含む希少生物が生息しており、自然観察会も開催されています。1980年代には、ホタルの生息調査が行われ、ヘイケボタルの生息も確認されています。

流路

新規堀用水は、以下のルートを辿ります。

1. 起点：久喜市久喜東2-5付近
2. 暗渠（水路の上は歩道）として北東へ流れる
3. 公園南側を流れ、南東へ進路を変える
4. 久喜東2丁目を流れる
5. 太田小通りとの交差点で暗渠の水路と交差（本流は東へ）
6. いちょう通り（青毛下早見線）を横断
7. 青毛下早見線・東口大通り交差点より100m北、東側付近にて開渠となる
8. 中堀落川と並行し北側を流れ、南東へ流れる
9. 吉羽字前を流れる
10. 字前を過ぎた辺りで北へ流れる
11. 東へ流路を変える辺りで暗渠となる
12. 100m下流で開渠となる
13. 開渠になった辺りで吉羽より南埼玉郡宮代町和戸へ向かう道路と並行し南へ分流。本流は東へ。
14. 吉羽字下河原を流れる
15. 青毛堀川と合流し終点

支流（分流）

太田小通り沿いには以下の支流があります。

1. 太田小通り、本流との交差点より50m程北周辺より起る
2. 本流と暗渠にて交差（暗渠上は共に歩道）
3. 太田小通り沿いに南へ流れる
4. 東口大通りを南側へ横断
5. さらに南へ太田小通り沿いに久喜東3丁目を流れる
6. 途中でさらに水路が分かれる（本流は南方へ。分流（掛堀用水）は西へ流下）
7. 中落堀川へ至り終点

周辺施設

新規堀用水周辺には、以下の施設があります。

公園
吉羽自治会集会所
吉羽天満宮
埼玉県利根川流域古利根川処理センター


新規堀用水は、地域の歴史と自然を今に伝える貴重な水路であり、その存在は地域の人々の生活と深く結びついています。

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