高輪寺遺跡

高輪寺遺跡：久喜市の歴史を刻む複合遺跡

高輪寺遺跡は、埼玉県久喜市吉羽に位置する、旧石器時代から歴史時代にわたる複合遺跡です。遺跡の名称は、隣接する高輪寺に由来します。

遺跡の概要

この遺跡は、中落堀川の東側に広がる関東ローム層の台地上に位置しています。発掘調査当時は水田や畑が多く残る地域でしたが、吉羽土地区画整理事業によって、現在は新市街地へと変貌を遂げています。遺跡の標高は約11.6mで、南側は緩やかな傾斜、北側は急な傾斜となっています。

発掘された遺物・遺構

高輪寺遺跡からは、各時代の多様な遺物・遺構が発見されています。

旧石器時代: スクレイパー
縄文時代: 住居跡、土壙、ファイアピット、土器、石鏃、打製石斧、磨製石斧、石匙、石核、敲石、石皿、磨石、凹石掻器、石錐、礫器、砥石、石棒など
弥生時代: 土器の小片、磨製石鏃
古墳時代: 土師器、土錘
歴史時代: 中世墓、板石塔婆、人骨、カワラケ、古銭、井戸、土器、陶磁器など

これらの出土品は、各時代の生活や文化を知る上で貴重な資料となっています。

発掘調査の経緯

高輪寺遺跡の発掘調査は、吉羽土地区画整理事業に伴い、以下の期間で実施されました。

第一次発掘調査: 1978年1月17日 ~ 3月28日
* 第二次発掘調査: 1978年9月11日 ~ 1979年1月12日

これらの調査によって、遺跡の全容が明らかになりました。

周辺の遺跡

高輪寺遺跡の周辺には、吉羽北遺跡、西遺跡、千勝神社西遺跡、稲荷神社遺跡、吉羽西遺跡、吉羽宿遺跡など、多くの遺跡が分布しています。これらの遺跡群は、この地域が古くから人々の生活の場として栄えていたことを示しています。

現在の状況

吉羽土地区画整理事業によって、高輪寺遺跡周辺の景観は大きく変化しました。しかし、遺跡の重要性は変わることはなく、地域の歴史を伝える貴重な文化遺産として保存されています。現在、遺跡の所在地周辺には、太田集会所、吉羽公園、久喜市立中央図書館、高輪寺、明王院、千勝神社などが位置しています。

まとめ

高輪寺遺跡は、久喜市の歴史を多角的に物語る貴重な遺跡です。旧石器時代から歴史時代までの遺物・遺構は、この地域における人々の生活や文化の変遷を教えてくれます。区画整理事業によって周辺の環境は変化しましたが、遺跡の重要性は失われることなく、地域の歴史を伝える文化遺産として大切にされています。

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