新川用水

新川用水の詳細

新川用水（にっかわようすい）は、埼玉県北東部を流れる重要な農業用水路です。上流部では、その歴史的背景から騎西領用水（きさいりょうようすい）とも呼ばれています。この用水路は、加須市外田ヶ谷で星川（見沼代用水）から分水し、加須市、久喜市、南[[埼玉郡]]宮代町を流れ、久喜市と宮代町の境界付近で備前前堀川に合流します。

流路の特徴

新川用水は、その流路において、かつての町村界の一部を成していました。特に久喜市内では、旧久喜町と江面村の境界の一部、また久喜市（六万部、上清久）と北葛飾郡鷲宮町（中妻、久本寺）の市町界を形成していました。備前前堀川との合流地点には「万年堰」という堰が設けられています。

新川用水の具体的な流路は以下の通りです。

起点：埼玉県加須市外田ヶ谷の星川（見沼代用水）から分水。
外田ヶ谷、内田ヶ谷を流れ、国道122号騎西菖蒲バイパスを横断。
正能を流れ、上高柳（北側）と日出安（南側）の間を流れる。
下高柳（北側）と常泉（南側）の間、船越（北側）と大室（南側）の間を流れる。
水深（北側）と北辻（南側）の間を流れ、加須市水深（北側）と久喜市六万部（南側）の境界、東北自動車道の西側で、樋ノ上用水を分水。
東北自動車道を横断し、久喜市中妻（北側）と六万部（南側）の間を流れる。
中妻（北側）と上清久（南側）の間、久本寺（北側）と上清久（南側）の間を流れ、この付近で稲荷台用水を分水。
下清久（西側）と上早見（東側）の間を流れ、埼玉県道151号久喜騎西線の橋梁「歓喜院橋」南側の「歓喜院圦」から本一用水を分水。
下清久（北西側）、江面（南西側）、上早見（東側）の境界で塚堀用水を分水。
上早見（北側）と江面（南側）の間を流れ、この付近で芝原用水を分水。
久喜市上早見付近で流路が大きく湾曲。
埼玉県道3号さいたま栗橋線を横断し、江面（西側）と下早見（東側）の間を流れる。
下早見（北側）と北青柳（南側）の間を流れ、東北新幹線、東北本線を横断。
下早見（北側）と太田袋（南側）の間を備前前堀川（南側）と並行して流れ、宮代町大字和戸字向芝原にて備前前堀川に合流し、終点。

主な分水

新川用水からは、以下の用水路が分水しています。

樋ノ上用水
稲荷台用水
本一用水（歓喜院圦より分水）
塚堀用水（所久喜用水 分水口）
芝原用水

施設

新川用水には、以下のような施設が設けられています。

騎西領取水口
三間樋
正能調節堰
高柳調節堰
下高柳調節堰
小川台調節堰
樋ノ上調節堰
藤本調節堰
江面第一調節堰
江面第二調節堰
青柳堰
車屋堰
新万年堰

橋梁

新川用水には多くの橋梁が架けられています。主な橋梁は以下の通りです。

元圦橋
新橋
池ノ上橋
上郷橋
多賀谷橋（埼玉県道308号内田ヶ谷鴻巣線）
中郷橋
寄居大橋（国道122号）
さんぞう橋
古宮橋
古宮大橋
ほんじ橋
龍花院橋
段段橋
新川橋（埼玉県道151号久喜騎西線）
下大橋
地蔵院橋
駒形橋
新新川橋
万坊院橋（埼玉県道38号加須鴻巣線）
境橋
名称不明
下高柳橋（埼玉県道149号加須菖蒲線）
名称不明
新川橋（埼玉県道370号北中曽根北大桑線）
稲荷橋
清浄橋
川端橋
慶雲院橋
東北自動車道
境橋
上新川橋
千勝橋（埼玉県道12号川越栗橋線）
名称不明
八幡橋
観喜院橋（埼玉県道151号久喜騎西線）
諏訪橋
新川橋（埼玉県道146号六万部久喜停車場線）
名称不明
新新川橋（埼玉県道3号さいたま栗橋線）
弁天橋
新川新橋（にっかわしんばし）
名称不明（市役所通）
埼玉県道87号上尾久喜線
名称不明
東北新幹線
新川用水橋梁（東北本線）
名称不明
下万田第一高架橋（圏央道）

騎西領と日川（にっかわ）

新川用水は、かつて騎西領用水とも呼ばれていました。この「騎西」という名称は、中世に埼玉郡が騎西郡と騎東郡に分割されていたことに由来します。従来の研究では、東西の境界は元荒川と考えられてきましたが、その後の研究により、新川用水の元となった歴史河川である日川（にっかわ）が境界であった可能性が高いとされています。

江戸時代初期に、利根川や荒川の大改修によって河川の流路が大きく変わりました。その結果、日川は新川用水として新しく開削された備前前堀川と繋げられ、備前前堀川より南側が切り離されました。これにより、騎東郡は用いられなくなり、騎西郡も公文書から姿を消し、騎西領用水としてその名残を留めることになりました。

中世の日川は、現在の新川用水の流路とほぼ同じであったと推定されています。備前前堀川から南側は、白岡市の野牛・高岩地区の境に入り、白岡市内では高岩、寺塚、上野田、下野田、岡泉が東岸、野牛、白岡、小久喜、千駄野、実ケ谷が西岸に位置していたと考えられています。その後、蓮田市とさいたま市岩槻区の境界を流れ、元荒川に合流していたと推定されます。この異なる郡に属していたことが、現在でも地域の文化に影響を与えています。

江戸時代以降、備前前堀川より南側の日川は水量が減少し、用排水路としての役割を失い、流域は後背湿地化しました。元禄13年（1700年）には実ケ谷で締め切られ、排水が隼人堀に流れるようになり、新田開発が進展しました。その結果、「新川用水」として残った北側とは対照的に、南側は「日川新田」と呼ばれる水田地帯へと変化しました。

関連情報

新川用水に関連する情報として、以下のようなものがあります。

見沼代用水：新川用水の起点となる用水路。
中島用水路（黒沼笠原沼用水）：周辺地域を流れる用水路。
会の川：新川用水の元となった日川の派川。
水と緑のふれあいロード：新川用水沿いに整備された遊歩道。

外部リンク

騎西領用水路（新川） - 見沼代用水土地改良区ホームページ)
新川用水 - ウェイバックマシン（2008年12月10日アーカイブ分） - 有限会社フカダソフト（きまぐれ旅写真館）

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