新軍

新軍（しんぐん）とは

新軍または新建陸軍は、清朝政府が日清戦争後に新たに設立した近代的陸軍を指します。この軍は、軍の組織、訓練、装備が完全に西洋式に改革され、清朝末期において清国軍の主要な力となりました。

新軍の成立

新軍は1894年、日清戦争の勃発に伴い、広西按察使の胡燏棻が天津で定武軍を編成することから始まりました。当初、歩兵3000、砲兵1000、騎兵250、工兵500の合わせて4750名から成る部隊が選出され、西洋式の編成が導入されました。翌年には、袁世凱が新建陸軍に改名し、ドイツと日本の軍制を参考にしてさらなる発展を遂げました。この改革に伴い、軍の人数も7000名に増加しました。

この時期、両江総督の張之洞も独自に自強軍を創設しており、こちらも西洋式の編成を採用していましたが、最終的には袁世凱の新建陸軍に吸収されることとなります。1898年には、新建陸軍は董福祥の甘軍や聶士成の武毅軍と共に北洋三軍として知られるようになりました。

光緒新政における新軍改革

1899年、栄禄の提案により北洋各軍は武衛軍に組織変更されました。新建陸軍は武衛右軍に改編され、人数は一万に達しました。義和団の乱では武衛右軍が山東省に進出し、乱の鎮圧に尽力しましたが、他の軍とは異なり、列強との関係においてはほぼ無傷であり続けました。

その後、武衛右軍は武衛軍の中心的な存在となり、歩兵や騎兵、砲兵の部隊が強化されました。1902年には、義和団の残余を鎮圧し、「北洋常備軍」と改称され、新たな隊名が付けられていきます。

清朝政府はまた、1899年からの敗北を受けて軍制改革を急速に進め、総理練兵所や督練公所を各省に設置し、新軍の訓練体制を見直しました。この改革により、旧来の軍隊は削減され、新軍を地方軍と中央軍に分ける方針が取られました。特に袁世凱の北洋新軍は直接管理され、装備や訓練水準において突出した実力を持つものとして位置付けられました。

編制と構成

新軍は年々規模を拡大し、軍の構成は「鎮」「協」「標」「営」「隊」「排」などに再編され、それぞれに指揮官が任命されました。鎮は約12000人の兵士を抱え、士官は国内外で軍事教育を受けた者が任務に就くこととなります。また、兵士は志願制で、高い基準を満たす必要がありました。

これにより、新軍は空前の兵力を持つ軍組織へと成長していきました。特に、陸軍第一鎮から第六鎮までの部隊が編制され、それぞれが戦略的役割を担うことになります。

新軍とその影響

新軍は袁世凱の北洋軍として強大な軍事力を誇り、辛亥革命後、袁世凱がその力を背景に清朝の宣統帝を退位させた際の鍵となりました。彼はその後、中華民国の大総統に就任しましたが、思想の違う孫文との共存は難しく、中国は国内で長期に及ぶ内戦に突入していくことになりました。

まとめ

新軍は近代的な軍制をもたらした清朝末期の重要な軍隊であり、その影響は後の中国の歴史にも大きく貢献しました。新軍の成り立ちは、清朝の近代化とその軍事体制の進化の重要な一環として位置づけられています。

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