栄禄

栄禄（えいろく、満洲語：ᡰᡠᠩᠯᡠ、転写：žunglu、繁体字：榮祿、1836年4月6日 - 1903年4月11日）は、清王朝末期に活躍した軍人であり政治家です。字は仲華といい、満洲民族の中でも有力な一族であるグワルギャ氏の出身です。彼の人生は、清朝の衰退期における重要な出来事と深く結びついています。

栄禄は、16歳という若さで官職に就きました。これは、同じグワルギャ氏出身で、当時有力な政治家であった文祥に才能を認められたことが大きな要因でした。その後、彼は内務府大臣、工部尚書、総理各国事務衙門大臣などの要職を歴任し、政治家としてのキャリアを着実に積み重ねていきました。また、日[[清戦争]]では歩兵部隊の指揮官として軍務にも従事しました。

栄禄のキャリアにおける重要な転換期となったのが、光緒21年（1895年）です。彼は、袁世凱を抜擢し、近代的な軍隊である新建陸軍を創設しました。この軍隊は、後の清朝軍の近代化に大きな影響を与えました。

1898年、戊戌の政変が発生します。このクーデターにおいて、栄禄は西太后側の中心人物として、康有為らが主導した変法運動を武力によって鎮圧しました。政変後、彼は軍機大臣に任命され、兵部と北洋軍を統括する立場となりました。そして、宋慶、董福祥、聶士成、袁世凱といった有力な将軍たちの軍を統合し、武衛軍を創設しました。これにより、栄禄は清朝における軍事力の中心を担う人物となったのです。

義和団の乱が勃発した1900年、栄禄は主戦派に反対する立場を取りました。彼は、公使館区域への攻撃命令を受けながらも、逆に公使館区域を保護するよう行動しました。この行動は、彼の冷静さと国際情勢に対する深い理解を示しています。

義和団の乱後、栄禄は劉坤一や張之洞といった有力な地方官僚たちが主張した変法運動（光緒新政）を支持する姿勢に転じました。これは、清朝の現状を打破し、近代化を推し進める必要性を痛感した結果と考えられます。

また、栄禄の娘である幼蘭は、醇親王載灃に嫁ぎ、後の清朝最後の皇帝である宣統帝溥儀の母となりました。このように、栄禄は清朝末期の政治・軍事の両面で重要な役割を果たし、その影響は後世にまで及んでいます。

栄禄の生涯は、清朝末期の激動の時代を象徴するものであり、彼の功績と行動は、歴史の中で重要な意味を持っています。

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