新里村期

新里村期について

新里村期（しんざとむらき）は、主に先島諸島における文化の変遷を特徴づける時代区分の一つで、12世紀から13世紀にかけて存在しました。この時期は沖縄本島で起こるグスク時代とほぼ同時に重なっており、特に沖縄諸島との文化的な関係が深く見られる時代と言えるでしょう。

概要

先島諸島における先史文化である下田原期や無土器期の終焉と、その後の新里村期の始まりは、沖縄の歴史において重要な意味を持ちます。この新たな時代の到来は、先島の地域コミュニティや社会構造が変化する契機となりました。

具体的な遺跡の調査結果から分かるように、この時期の遺跡は宮古列島ではほとんど確認されていないのに対し、八重山諸島の遺跡、特に石垣島のビロースク遺跡、竹富島の新里村東遺跡、カイジ村跡遺跡においては、豊富な出土品が見つかっています。これらの遺跡では、12世紀から13世紀にかけての文化の痕跡が明らかになるばかりでなく、その後の中森期の初期段階にあたる13世紀末から14世紀代の遺物も出土しています。

これらの遺跡は、すべて海からのアクセスが良好な位置にあり、外部の訪問者との接触があったことが示唆されています。少数ではありますが、新里村期の遺物からは、新里村式土器（滑石製石鍋を模倣した土器）、ビロースク式土器（中国の土器から影響を受けた土器）、さらには中国から持ち込まれた磁器、青磁、褐釉陶器、徳之島産のカムィ焼き、鉄製品や玉類、中国の銭貨などが確認されています。その一方で、無土器期に見られた石器や貝製品の出土は見られなくなります。また、炭化米や炭化麦、プラントオパールといった農業に関連する遺物も発見されています。

伝承と文化

この新里村期には、記録として残るものはほとんどありませんが、宮古島や竹富島には平家の落人に関する伝承が存在します。また、球陽には伊理幾屋安真理という神が八重山地域に農耕をもたらしたとの伝説も伝わっています。これらの物語は、新里村期の生活や文化を考察する上で重要な手がかりとなります。

参考文献

この時期の研究については、小野林太郎らによる『海民の移動誌』が有名で、昭和堂から出版されています。新里村期の遺跡や出土品に関するさらに詳しい情報については、この参考文献を通じて知識を深めることをお勧めします。

関連項目

• - グスク時代
• - 沖縄県の歴史

新里村期は、先島諸島の文化の担い手たちの生活や風俗を知るための重要な時代であり、今後の研究によってその全貌が明らかになることが期待されます。

もう一度検索