新韓国党 (1992)

新韓国党：1992年大統領選と短命政党の軌跡

1992年、韓国大統領選挙を目前に控え、政界は激動の渦に巻き込まれていました。その中心にあったのが、与党である民主自由党（民自党）内部の激しい権力闘争です。

民自党は、旧民主正義党（民正党）と旧民主党という異なる勢力の融合体でした。そのため、党内には旧民正党系と旧民主党系という二つの大きな勢力が存在し、それぞれが党の主導権を握ろうと激しい争いを繰り広げていました。

この争いの主役の一人が、旧民正党系の実力者であった李鍾賛でした。彼は民自党の大統領候補を目指していましたが、激しい党内抗争の末、旧民主党系の金泳三に敗れ、大統領候補の座を奪われてしまいます。

金泳三候補の指名に不満を抱いた李鍾賛は、1992年8月17日、民自党からの脱党を宣言。その後、新党結成に向けて動き出し、同年9月23日には「新政治国民連合」結成大会を開催しました。そして、10月20日には新党の名称を「新韓国党」に決定、10月23日には創党準備委員会を発足させ、11月17日には創党大会を開催。李鍾賛は新韓国党の党代表および大統領候補に選出されました。

しかし、大統領選は李鍾賛にとって厳しい戦いとなりました。当時、大統領選は金泳三（民自党）、金大中（民主党）、そして鄭周永（統一国民党）の「2金1鄭」と呼ばれる三つ巴の争いが注目を集めており、新韓国党は影に隠れてしまう形となりました。

劣勢を挽回しようと、李鍾賛は選挙戦終盤の12月12日、鄭周永候補への支持を表明し、自ら大統領選からの撤退を決断します。一時、新韓国党と統一国民党の統合が合意されましたが、鄭周永候補の敗北を受けて、この統合は白紙に戻されてしまいました。

その後、新韓国党は短命に終わります。1995年2月24日、民主党および在野勢力である統一時代国民会議との統合を宣言。3月7日には民主党に吸収合併され、その歴史に幕を閉じました。わずか2年余りの党の歴史でした。

新韓国党は、韓国政治史において、政党再編の激しさや、大統領選における複雑な駆け引きを象徴する存在と言えるでしょう。また、李鍾賛という一人の政治家の野心と挫折、そして党の存亡をかけた戦略と、その脆さを物語る事例として、現代韓国政治史研究において重要な意味を持つ政党と言えるでしょう。新韓国党の短い歴史は、韓国民主主義の成熟過程における、激しい権力闘争と政党再編の困難さを示す一つの縮図として、後世に語り継がれるべきでしょう。

参考文献

韓国中央選挙管理委員会編『大韓民國政黨史　第4輯（1988.2.25～1993.2.24）』
韓国中央選挙管理委員会編『大韓民國政黨史　第5輯（1993.2.25～1998.2.24）』

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