新顎類

新顎類：現生鳥類を彩る多様なグループ

新顎類 (Neognathae) は、鳥類を分類する際の主要なグループの一つです。現生する鳥類の圧倒的多数、実に約99.5%を占める多様な鳥たちが、この新顎類に含まれます。ダチョウなどの古顎類と比較するとその種数の差は歴然としており、鳥類進化における新顎類の成功を物語っています。

新顎類の系統と分類：複雑な進化の足跡

新顎類は、古顎類と姉妹群の関係にあり、両者は新生代の初期に進化の道を分けたと考えられています。新顎類の下位分類は、35もの目に及び、その系統関係は長らく研究者の間で議論されてきました。

現在では、分子系統解析などの進歩により、新顎類を大きく2つのグループに分類するのが一般的です。一つはキジカモ類 (Galloanserae) で、キジ目とカモ目の2目からなります。もう一つは新鳥類 (Neoaves) で、残りの33目を包含する、非常に多様性に富んだグループです。

しかし、新鳥類内部の系統関係は依然として複雑で、完全に解明されているとは言えません。いくつかの主要な系統が提案されていますが、それらの系統間の関係や、各系統に属する目の正確な位置付けについては、さらなる研究が必要です。

例えば、Ericson (2006, 2008) は新鳥類を Metaves と Coronaves の2つの大きなグループに分け、さらにそれらを細分化する系統樹を提案しました。一方、Mayr (2011) は、異なる遺伝子データに基づき、異なる系統関係を提唱しています。このように、新顎類の系統関係は、研究者によって異なる見解が示されており、今後さらなる研究によってより詳細な系統樹が構築されていくことが期待されます。

新顎類の分類史：研究の歩み

新顎類という分類群が最初に提唱されたのは、1900年の Pycraft にまで遡ります。彼は現生鳥類を古顎類と新顎類の2つのグループに分類しました。その後、Bock (1982) は、ペンギン目を新顎類から独立させたペンギン上目 Impennes を提唱しましたが、分子系統解析の結果からは、ペンギン目は新顎類内部の系統である Aequornithes に属すると考えられています。

Sibley et al. (1988, 1990) の研究は、新顎類の分類に大きな影響を与えました。彼らは、キジ目とカモ目が単系統をなすことを示し、新顎類をキジカモ類と新鳥類に分ける分類体系を提案しました。彼らの研究は、分子系統解析に基づいており、それまでの形態に基づいた分類体系とは異なる側面も示しています。

しかし、Sibley et al. の分類体系も、完全なものではありませんでした。特に新鳥類内部の分類は、複数の目からなるグループをまとめて一つの小綱として扱っており、必ずしも系統関係を正確に反映しているとは言えませんでした。現在の新顎類の分類体系は、分子系統解析の進歩や、様々な研究者の貢献によって、より正確で自然な系統を反映するよう、継続的に改訂・精緻化されています。

まとめ

新顎類は、現生鳥類の進化と多様性を理解する上で極めて重要なグループです。その系統関係や分類については、研究者の間で議論が続けられていますが、分子系統解析などの手法の発展により、徐々にその全貌が明らかになりつつあります。今後の研究によって、より正確で詳細な新顎類の系統樹が構築されることが期待されます。

もう一度検索