於保不二雄

於保不二雄（おほ ふじお）は、1908年1月22日に山口県下関市で生まれ、1996年1月14日に京都市の自宅で亡くなった日本の法学者です。民法を専門とし、京都大学で長年教鞭を執り、名誉教授の称号を受けました。彼の業績は、法学界に多大な影響を与えています。

人物

於保不二雄は、「財産管理権序説」において、財産の帰属と管理を分離するという画期的な理論を提唱しました。この理論は当初、賛否両論を呼びましたが、最終的には法学界に受け入れられ、その後の民法解釈の基礎となりました。彼は、民法の各分野にわたる解釈体系を打ち立て、日本の民法学の発展に大きく貢献しました。

また、於保不二雄は、法律学の社会貢献にも熱心でした。京都大学の学生による市民法律相談会を支援するなど、法律知識を社会に還元することに尽力しました。彼の教育者としての側面も高く評価されており、多くの後進を育てました。

略歴

1932年：京都帝国大学法学部を卒業。
1935年1月：京都帝国大学法学部助教授に就任（民刑事法専攻、民事法講座）。
1943年9月：京都帝国大学法学部教授に昇任（民刑事法専攻、民事法講座）。
1947年2月：京都帝国大学評議員に就任（1949年2月まで）。
1954年3月：京都大学評議員に就任（1956年3月まで）。
この年、「財産管理権序説」を発表し、財産の帰属と管理の分離を主張。
1955年3月：京都大学より法学博士号を取得（学位論文「財産管理権論序説」）。
1959年1月：京都大学法学部長に就任（1960年12月まで）。
1971年3月：京都大学を退官。
1971年4月：京都大学名誉教授の称号を受ける。
1996年1月：肺癌のため、京都市の自宅で逝去。享年87歳。

叙勲歴

1995年：文化功労者に選出。

著作

於保不二雄は、多くの著作を通じて、その学説を広く社会に伝えました。主な著作には以下のようなものがあります。

『相続法』（1949年）
『財産管理権序説』（1954年）
『債権総論』（1959年）、新版（有斐閣法律学全集、1972年）
『物権法（上）』（1966年）
『民法学の基礎的課題（上）』（1971年）
『親子』
『民法総則講義』
『注釈民法（4）』（奥田昌道と編纂）
* 『民法概説（3）親族・相続』（1966年、谷口知平と共著）

これらの著作は、現在でも民法を学ぶ上で重要な参考文献とされています。於保不二雄の理論は、現代の民法解釈にも大きな影響を与え続けています。特に「財産管理権序説」は、その後の民法学に大きな転換をもたらし、彼の功績を象徴するものと言えるでしょう。

弟子には奥田昌道などがおり、彼の教えは多くの後進に受け継がれています。於保不二雄は、日本の民法学の発展に不可欠な存在であり、その業績は後世に語り継がれるべきものです。

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