旅篭町 (高松市)

旅篭町（はたごまち）

旅篭町は、香川県高松市の中心部に位置する町丁です。郵便番号は760-0057で、住居表示に関する法律に基づく住居表示は実施されていません。

地理

高松市役所から約0.8km南、高松市中心部における都心最南端に位置しています。南側は市道馬場田町線、西側は中央通りに面しており、北と東は街区内の線によって境界が引かれています。町の規模は非常に小さく、南北約30メートル、東西約110メートル程度しかありません。実質的には、市道馬場田町線または中央通りに接する建物部分が旅篭町と見なされています。中央通りと田町商店街を結ぶ市道馬場田町線が町内を通るため、人々の往来は多い地域です。町内の大部分はオフィスビルやマンション、駐車場で占められています。

2010年の国勢調査によれば、旅篭町の人口は180人（男性92人、女性88人）、世帯数は78世帯でした。町の面積は約4167.882平方メートルで、これはアメリカンフットボールのフィールド（約5353平方メートル）よりも狭い極めて小さな面積です。この狭い土地に数棟のアパートや高層マンションが立地しているため、人口密度は4万3187.4人/平方キロメートルと非常に高い数値を示しています。公立小中学校の校区としては、町全域が亀阜小学校および紫雲中学校に指定されています。

都市計画法に基づく用途地域は町全域が商業地域に指定されており、容積率は中央通り沿いが600%、それ以外の地域は400%となっています。

名称・読み方

「旅篭」という表記に関して、かつては「篭」の旁に「龍」の旧字体を用いて「旅籠町」と書かれることもありました。誤記も含め、現在でもまれに使われることがありますが、高松市が定めている正式な表記は「旅篭町」です。

「旅篭（はたご）」という読み方自体は辞書にも載っている熟語ですが、現代では日常的に使われる言葉ではないため、「はたごまち」という読み方をすぐに想定することは難しく、難読地名として知られています。

歴史

町名の由来は、当地を通る石清尾八幡宮への参道（現在の八幡通り）沿いに宿場町が形成されていたことによります。

江戸時代、旅篭町は高松城の城下町で最も南に位置する町の一つでした。五街道（現在の市道丸亀町栗林線）と石清尾八幡宮参道の結節点として、宿場町として発展しました。初代高松藩主である松平頼重は、当地を「茶屋町」と改称し、飯盛り女を置き、町の東西に設けられた大門に門番を配置しました。この茶屋町時代は色町として大変な賑わいを見せましたが、周囲の風紀を著しく乱したため、藩もその取り締まりに苦慮するようになります。結果、承応3年（1654年頃）に色町は廃止され、町名も元の旅篭町に戻されました。しかし、「茶屋町」という名称は、旅篭町の別称として1945年（昭和20年）の高松空襲まで使用され続けました。文化年間頃のものとされている高松城下図屏風には、当町に石清尾八幡宮の鳥居の一つがあり、町の出入り口には辻番所が設けられ、西側には武家屋敷が描かれていました。

1890年（明治23年）2月15日、市制施行により高松市が誕生した際に、旅篭町も高松市の町丁の一つとなりました。1945年（昭和20年）7月4日、高松空襲により町は全焼しました。空襲で壊滅的な被害を受けた高松市中心部では、その大部分で戦災復興土地区画整理事業が行われ、当地も第一工区三次区域として区画整理の対象地域となりました。この区画整理により、中央通りが中新町交差点から南へ延伸し、石清尾八幡宮参道（市道馬場田町線）が拡幅されました。この第一工区三次区域における区画整理事業の完工に伴う換地処分は、1970年（昭和45年）5月19日でした。

戦後までは、現在よりもさらに西側までを町域に含んでおり、東西に細長い両側町でした。しかし、町の中央に中央通りが建設されたことにより、町は東西に分断されました。さらに、1969年（昭和44年）、中央通りによって分断された西側が中央町に編入された結果、中央通りの東側にわずかに残された旅篭町は、現在の非常に面積が狭い町となりました。

主要施設

特筆すべき主要施設は特にありません。主にオフィスビル、マンション、駐車場などで構成されています。

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