族長時代

族長時代とは

族長時代とは、旧約聖書に記述される時代区分の一つで、ユダヤ教およびキリスト教の概念です。具体的には、アブラハムの誕生（紀元前1812年頃）から、出エジプト（紀元前1312年頃）までの約500年間を指します。この時代は、イスラエル民族の祖先とされる族長たちが活躍し、その後の民族の歴史と信仰の基礎を築いた重要な期間とされています。

族長たち

族長時代を代表する人物として、以下の人々が挙げられます。

アブラハム：妻はサラ。
イサク：妻はリベカ。
ヤコブ：妻はラケルとレア（二人の正妻を持つ）。

ヤコブの息子たちは、イスラエルの十二支族の祖となります。彼らの名前は以下の通りです。

ルベン
シメオン
レビ
ユダ
ダン
ナフタリ
ガド
アシェル
イッサカル
ゼブルン
ヨセフ
ベニヤミン

また、ヨセフの息子であるエフライムとマナセも、重要な位置を占めます。

さらに、出エジプトの指導者であるモーセも、この族長時代の一部に関わっています。モーセの兄弟はアロン、妹はミリアムです。

民族の父母

ユダヤ教では、族長時代の初期を「民族の父母」と呼び、特に以下の人物を重要視します。

アブラハムとサラ
イサクとリベカ
ヤコブとラケルとレア

これらの人々は、ユダヤ民族とユダヤ教（一神教）を確立したとされています。彼らは以下の概念で分類されることもあります。

シュロシェット・ハ=アボット（三人の父）：アブラハム、イサク、ヤコブ
アルバア・ハ=イマホット（四人の母）：サラ、リベカ、ラケル、レア

ヤコブの側女であったビルハとジルパは、ダン、ナフタリ（ビルハ）、ガド、アシェル（ジルパ）の母ですが、「民族の母」には含まれていません。しかし、ヤコブに関わる四人の女性をまとめて語る際に、それぞれの頭文字を取り「バルゼル」（ברזל：「鉄」の意）と呼ぶこともあります。

族長たちの役割

アブラハム、イサク、ヤコブは、神と直接語り合うことのできる預言者として描かれています。彼らは、偶像崇拝が一般的であったカナン地方において、少数派であり、その文化は周囲と相容れないものでした。しかし、神は彼らに対して、彼らの子孫からカナンを相続する選ばれた民が誕生することを約束しました。

埋葬の地

『創世記』やユダヤ教の伝承によると、民族の父母のうち、ラケルを除く六人は、ヘブロンのマクペラの洞穴に埋葬されたとされています。ラケルはベツレヘムに埋葬され、現在その場所にはラケルの墓が建てられています。

関連聖書箇所

創世記
出エジプト記

関連項目

* 総大司教

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