アシェル

アシェルは、旧約聖書の創世記に登場する人物で、ヤコブの8番目の息子です。母はレアの女奴隷ジルパであり、彼女が生んだ2番目の子供でした。アシェルの名前はヘブライ語で「幸福な」「祝福された」という意味を持ちます。新約聖書では「アスェル」と表記されています。

アシェルは後に、4人の息子と1人の娘をもうけました。ヤコブが臨終の際、アシェル族の繁栄を祝福したと伝えられています。

アシェル族について

アシェル族は、アシェルの5人の子供たちを祖とする、イムナ族、イシュビ族、ベリア族、ヘベル族、マルキエル族の5つの氏族から構成されました。彼らは、モーセから祝福を受け、ガリラヤ山地の西斜面から地中海に達する地域、南はカルメル山の頂上から北はツロとシドンの付近に及ぶ平地を割り当てられました。

アシェル族の東側はゼブルン族とナフタリ族の相続地、南側はマナセ族の相続地に接していました。しかし、アシェル族は地中海沿岸の多くの都市から異民族を完全に追放することはできませんでした。

歴史的な出来事において、アシェル族は、デボラの戦いでは支援をしませんでしたが、ギデオンの陣営には参加しました。ダビデ王の時代には兵士を派遣し、ソロモン王の時代には行政区の一つとなりました。王国が分裂した際には、北イスラエル王国の創始者ヤロブアム1世に従いました。

紀元前722年に北イスラエル王国が滅亡した後、ヒゼキヤ王の時代には、エルサレム神殿で行われた過越の祭りにアシェル族の代表が参加したという記録があります。

新約時代には、アシェル族出身の女預言者アンナが、幼子イエス・キリストを見て喜びを表したという記述が残されています。

アシェル族は、その名前が示すように、祝福された歴史を歩んだと見ることができます。彼らの領地は豊かな地域であり、彼らはイスラエルの歴史の中で重要な役割を果たしました。

参考文献

『新聖書辞典』 いのちのことば社、1985年

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