マナセ

マナセについて

マナセ（ヘブライ語: מְנַשֶּׁה, 古希: Μανασσής）は、ユダヤ人男性の名前で、ヘブライ語で「忘れさせる者」という意味を持ちます。旧約聖書には、複数のマナセが登場しますが、最も重要なのはヨセフの長子であるマナセです。

ヨセフの長子マナセ

ヨセフとエジプトの祭司ポティ・フェラの娘アセナトの間に生まれた長子がマナセです。弟にはエフライムがいます。ヨセフがマナセと名付けたのは、「神が、わたしの苦労と父の家のことをすべて忘れさせてくださった」からだとされています。

ヤコブは、マナセを祝福し、「この子も一つの民となり、大きくなるであろう」と述べました。マナセはアラム人のそばめとの間に子孫をもうけ、ヨセフは長生きして、マナセの子マキルを見ることができました。マナセは、イスラエルの12部族の一つであるマナセ族の祖となります。

その他のマナセ

旧約聖書には、ヨセフの長子以外にも、以下のマナセが登場します。

マナセ (ユダ王): 南王国ユダの第14代の王。
パハト・モアブの子と、ハシュムの子: 捕囚中に異邦人の女と結婚し、帰還後に離婚した人物。
ユディトの夫: 同族の裕福な男性で、麦刈りの際に日射病で亡くなった人物。

マナセ族

マナセ族は、イスラエルの部族の一つで、失われた10支族の一つに数えられます。祖はヨセフの子マナセです。

部族の歴史

ヤコブは、祝福の際に手を交差させて、エフライムを長子とし、マナセを次位に置きました。これは、マナセ族がエフライム族より小さな役割を果たすことを示唆していると考えられています。マナセ族は7家族から成り、エジプト脱出後の調査では、20歳以上の男子は32,200人でした。約40年後の荒野での調査では52,700人に増加し、エフライム族の数を上回りました。

荒野での宿営では、マナセ族はエフライム族とベニヤミン族とともに西側に宿営を張りました。モーセは、ヨルダン川東側のヘシュボンの王シホンとバシャンの王オグの国を滅ぼした後、その地をルベン族、ガド族、マナセ族に与えました。ただし、ヨルダン川西側の領地を征服する戦いにも参加することが条件とされました。マナセ族には、ギレアドの地とバシャンの全土が与えられました。ヨルダン川西側の残りの半部族は、地中海からエフライム、アシェル、イサカルに接する地域に住みました。また、ベト・シェアン、イブレアム、ドル、エン・ドル、タナク、メギドとその周辺都市が嗣業の地として与えられました。

部族の著名人

士師ギデオンはマナセ族の出身です。ダビデがツィクラグにいた時、マナセ族の千人隊の長たちが彼を支持し、ヨルダン川の西側と東側から多くのマナセ族がやって来て、ダビデをイスラエルの王に立てました。

部族の衰退

後に、マナセ族は偶像崇拝に傾き、東側のマナセ族はアッシリアの王ティグラト・ピレセル3世によって捕囚されました。

参考文献

『新共同訳聖書』日本聖書協会
小型版　新共同訳聖書辞典、キリスト新聞社、1997年。
岩波キリスト教辞典、岩波書店、2002年。
キリスト教人名辞典、日本基督教団出版局、1986年。
聖書辞典、日本基督教団出版局、1988年。

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