旗後砲台

旗後砲台は、台湾高雄市旗津区の旗後山に位置する、国定古蹟に指定された歴史的な砲台です。その歴史は、清朝が台湾を統治し始めた17世紀後半に遡ります。

歴史的背景

1683年、清朝は台湾を支配下に置くと、水軍を派遣し、現在の高雄市にあたる打狗の旗後に100名の兵を駐屯させました。1719年には、旗後に中国式の6門の大砲を備えた砲台が築かれた記録が残っています。

1840年のアヘン戦争勃発時には、この砲台が防御のために利用されました。その後、1874年の牡丹社事件を契機に、清朝政府は沿岸防備を強化するため、1875年に船政大臣の沈葆楨を派遣し、旗後砲台の大規模な改修を行いました。この時、最新式の大砲が設置され、現在の旗後砲台の原型が形作られました。

この近代化された砲台は、イギリスの技師によって設計され、西洋式の構造を取り入れました。兵舎を北側に、指揮所を中央に、そして南側に4門の大砲が配置されました。しかし、入り口は中国式の八字門となっており、門壁には赤レンガで「囍」の字型の装飾が施されるなど、当時の一般的な様式が踏襲されています。

1894年には、イギリス製のアームストロング砲が4門設置され、砲台の防御力はさらに強化されました。しかし、1895年の日清戦争（乙未戦争）では、日本海軍との間で激しい砲撃戦が繰り広げられました。日本軍の攻撃によって砲台門の扁額「威震天南」の一部が損傷しましたが、その後、日本軍が上陸に成功したため、旗後砲台は放棄され、日本統治時代には大砲は金属資源として回収されました。

第二次世界大戦後、中華民国国軍は灯台との間にトーチカを築き、防御施設として利用しました。

修復と再公開

1985年に二級古蹟に登録された後、1991年からは高雄市政府によって修復が行われ、1995年に一般公開されました。修復時には、砲台門の扁額も「天南」の二文字が復活し、歴史的な証人として多くの観光客が訪れる名所となっています。2019年には国定古蹟に昇格しました。

映画のロケ地と落書き問題

2017年の仏台合作映画「愛之牆」のロケ地としても使用されましたが、その直後、観光客による落書きが石壁などに多数発見され、問題となりました。

立地と周辺施設

旗後砲台は、旗後山の頂上に位置し、周辺には旗後灯台、旗後星空隧道、旗津老街、旗津天后宮、旗津フェリー乗り場、旗后観光市場、旗津海水浴場などの観光スポットがあります。フェリー乗り場からは徒歩で約10分ほどの距離にあります。

ギャラリー

[画像1]
[画像2]
[画像3]

関連項目

台湾古跡一覧
清朝統治時代の台湾
打狗港

外部リンク

旗後砲台 高雄市政府文化局
旗後砲台 文化部文化資産局国家文化資産網
旗后砲台 高雄旅遊網（高雄市政府観光局）

もう一度検索