既成左翼

既成左翼についての概説

既成左翼（きせいさよく）は、新左翼の立場から見た、伝統的な左翼勢力を指す用語です。日本においては、旧日本社会党（現在の新社会党、社会民主党、立憲民主党を含む）と日本共産党がこのカテゴリーに該当します。広義には、日本労働者階級解放闘争同盟も既成左翼に含まれることがあります。

この用語は、新左翼から「既成左翼」としての批判的な意味合いを込めて使われることが多く、しばしば「旧左翼」（Old Left）と呼ばれることもあります。そのため、旧日本社会党や日本共産党の関係者自身が「既成左翼」と自称することはあまりありません。

政策スタンス

既成左翼は、過激な運動を避け、議会や民主主義を尊重した穏やかな政策を採用しています。彼らは武力革命や武装闘争を否定し、血を流さない形で徐々に政治を動かそうとしています。このようなアプローチは、新左翼から「修正主義」や「改良主義」といった批判を受ける一因ともなっています。

日本共産党は結党以来、比較的長い間「人民」という呼称を使っていましたが、現在は他の政党と同じく「国民」という言葉にシフトしています。また、現在の日本における既成左翼は「革命」という言葉もあまり使用しなくなっています。日本共産党と社会民主党は、日本国憲法、特に第9条と第25条を重視しており、日本共産党は護憲派との連携も名目にしています。

日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」では、時折「革命政党」と自称することもありますが、その一方で日曜版や他の広報資料では「革命」という言葉はほとんど使われず、「憲法を守る」「暮らしを守る」といった穏健な表現が主流となっています。警察庁は、日本共産党は依然として「革命」の理念を持っていると指摘し、党の現在の戦略をソフトなイメージ作りの一環であると評価しています。

新左翼との対立

対照的に、新左翼は、より急進的な路線を取っており、過激な運動を展開しています。武装闘争を含む「闘う左翼」を自称し、既成左翼を強く批判しています。特に革マル派は、機関紙「解放」において日本共産党を頻繁に非難しています。

しかし、新左翼の中には、旧第四インターナショナル（かけはし）のように武装闘争や非合法活動を停止し、既成左翼に代わる新しい左翼政党の結成を目指す種族もあり、すべての新左翼が「過激派」として分類されるわけではありません。従って、新左翼には過激な活動を行わないグループも存在しています。

関連項目

• - 共産党: 世界各地に広がる共産党は、もともとコミンテルンの支部であったため、日本の既成左翼と見なされます。
• - ニセ「左翼」暴力集団: 既成左翼と新左翼の枠組みの中で浮かび上がる新たな問題です。

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