日吉八幡神社

秋田市八橋本町 日吉八幡神社：歴史と文化が息づく社殿

日吉八幡神社は、秋田県秋田市八橋本町に位置する由緒ある神社です。八橋運動公園の北側にあり、かつての国道沿いの一里塚跡からも程近い場所に鎮座しています。古くからこの地で人々の信仰を集め、地域に深く根付いた歴史を持つ神社として知られています。

霊験あらたかな鎮守、八橋の山王さん

古くは日枝山王と石清水八幡宮を勧請し、日吉山延命寺と呼ばれていたと伝えられています。創建時期は平安時代とも鎌倉時代とも言われ、詳細は明らかではありません。創建当初は秋田郡笹岡村（現在の秋田市外旭川）にありましたが、その後、幾度かの遷座を経て、現在の地へと落ち着いた歴史を持っています。鎌倉時代には五十丁村（現在の秋田市上新城五十丁）へ、天正17年（1589年）には安東実季により飯島村へ、元和元年（1615年）には佐竹義宣により寺内村字油田へと移転しています。そして、寛文2年（1662年）に現在の地へ遷座しました。その後、大火により焼失するも、安永7年（1778年）に再建されています。

安東氏、佐竹氏といった有力な領主からの庇護を受け、社領の寄進もありました。特に、元和年間の久保田城下町割りに際しては外町の鎮守として定められ、「八橋の山王さん」として、町民からの篤い信仰を集めてきました。明治時代には県社に列格され、現在も地域住民から親しまれる存在となっています。

神仏習合の独特な様相

神社の配置は独特で、北側（旧国道側）からは仏式建築である山門と三重塔が、東側からは神道の鳥居、参道、手水舎、拝殿、本殿といった配置が確認できます。この神仏習合（混交）様式は、建築学の分野においても注目を集め、論文が発表されるほどです。

貴重な文化財が数多く残る

日吉八幡神社には、多くの県指定有形文化財が保存されています。

本殿（寛政9年（1797年）建立）:正面三間、背面五間、両側面三間、入母屋造り、平入という特徴的な造りです。
拝殿（安永7年（1778年）建立）:権現造の拝殿と、独特の「浮橋」と呼ばれる連結部分があります。この浮橋は、2007年に修復されました。
舞殿:2000年に土台部分が修復されました。
三重塔（宝永4年（1707年）建立）:秋田県内で唯一の木造重層建築物で、神社のシンボル的な存在です。
随神門:明治初期に廃寺となった寿量院から移築されたもので、明和7年の大火を免れた歴史を持つ貴重な建造物です。
その他: 青銅鳥居、句碑、筆塚、大手水石、大鳥居、神輿殿、農聖石川理紀之助翁頌徳碑など、多くの歴史的建造物が境内には点在しています。

さらに、本殿には江戸時代の国学者である本居宣長の座像が安置されているという、歴史的にも貴重な存在です。

アクセス

日吉八幡神社へのアクセスは、自家用車または路線バスが利用可能です。自家用車の場合は駐車場があり、秋銀スタジアム前の道路は土日祝日は片側一車線駐車可能です。路線バスは、JR秋田駅から秋田中央交通のバスを利用し、「球技場前」バス停下車となります。

まとめ

日吉八幡神社は、歴史と文化が凝縮された、秋田市を代表する神社の一つです。多くの文化財、そして神仏習合の独特な様相は、訪れる人々に深い感動を与えてくれるでしょう。秋田を訪れた際には、ぜひ一度足を運んでみてください。

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