秋田郡

秋田郡（あきたぐん）

概要

秋田郡は、かつて秋田県に存在した郡です。その領域は、おおむね現在の秋田県内陸部一帯に広がっており、出羽国および羽後国の中で最大の面積を有していました。ただし、行政区画として明確に画定されたものではありません。

歴史

古代

秋田郡の歴史は、733年（天平5年）に出羽柵が現在の秋田市に移されたことに始まります。この出羽柵は後に秋田城と改称され、760年（天平宝字4年）には出羽国府も秋田城に移転しました。780年（宝亀11年）には秋田城介が設置され、国府移転後の地域を管轄しました。

804年（延暦23年）に秋田城制は廃止され、代わりに秋田郡が設置されました。これにより、この地域に国郡制が施行されることになります。当時の郡域は、南と東を河辺郡に接し、北端は馬場目川流域付近までと考えられています。そのさらに北は蝦夷の地とされ、秋田城の管轄下にはありながらも郡制は施行されていませんでした。

934年頃に成立した『倭名類聚抄』には、添川郷、率浦郷、方上郷、成相郷、高泉郷の5郷が秋田郡の郷として記載されています。

中世

その後、秋田郡の郡域は北へ拡大したと推測されています。中世の一時期には、男鹿半島に小鹿島郡が置かれたことが神社の棟札などから確認されています。また、北に隣接する河北郡は陸奥国に属していたか出羽国に属していたかで議論がありますが、設置されていたと考えられています。

1590年（天正18年）には、豊臣秀吉の朱印状により、陸奥国比内郡（後の北秋田郡）が秋田郡に編入され、近世の秋田郡が成立しました。

近代以降

幕末時点では、秋田郡は出羽国に属し、久保田藩の領地でした。明治元年（1869年）には、出羽国が分割され、秋田郡は羽後国の所属となりました。

明治4年（1871年）の廃藩置県により、秋田藩は秋田県となり、秋田郡も秋田県の管轄となりました。

明治11年（1878年）の郡区町村編制法の施行により、秋田郡は分割され、秋田町などを含む地域が南秋田郡、鷹巣村などを含む地域が北秋田郡としてそれぞれ発足しました。これにより、秋田郡は消滅しました。

所属町村の変遷については、北秋田郡および南秋田郡の項目を参照してください。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 5 秋田県、角川書店、1980年
旧高旧領取調帳データベース

関連項目

消滅した郡の一覧
比内郡

もう一度検索