日吉辰哉

熱血実況で人気を博すプロ雀士・日吉辰哉

日吉辰哉（ひよし たつや）は、1976年生まれの日本プロ麻雀連盟所属のプロ雀士であり、六段の腕前を持つ実力者です。静岡県出身で、高校時代に麻雀を始め、大学卒業後はサラリーマンとして働いていましたが、26歳でプロ雀士への道を歩み始めました。

プロ雀士としての活動に加え、日吉氏は麻雀教室の講師も務めています。しかし、彼を広く知らしめたのは、何よりも麻雀実況者としての活躍でしょう。数々の麻雀番組で実況を担当し、特に2019年シーズンからはMリーグの公式実況を務めています。

実況スタイル：熱量と個性、そして賛否両論

日吉氏の実況は、他の実況者とは一線を画す、独特のスタイルで知られています。淡々と状況説明をする実況が多い中、彼は熱量の高い、時に独特の表現を用いた、非常に個性的な実況で人気を集めています。

そのスタイルは、時に「うるさい」「ふざけているのか」といった批判的な意見も招きましたが、日吉氏は自身のスタイルについて明確な意識を持っています。彼は、ザッピングする視聴者の目を惹きつけ、麻雀を知らない人にも興味を持ってもらえるようなトークを心がけていると語っています。麻雀に精通した人だけが理解できるような専門用語を避け、より多くの人に麻雀の魅力を伝えることを重視しているのです。

しかし、その熱のこもった、時に理解しがたい表現は、依然として賛否両論を呼んでいます。「もはや何を言っているのかわからない」と評されることもありますが、日吉氏はそのスタイルを貫き通しています。

Mリーガーである俳優の萩原聖人は、日吉氏の実況について「ある意味天才」と評しながらも、「静岡訛りや感情移入が過ぎる部分もある」と指摘。プロの実況者としては改善すべき点もあると述べています。また、デジタル派を代表する小林剛や鈴木たろうも、日吉氏の実況に用いられる「風」といったオカルト的な表現や、彼の麻雀観が前面に出過ぎている点を批判的に見ています。

連盟の森山茂和会長も、かつて日吉氏と古橋崇志氏の実況について「大げさすぎる」と苦言を呈したことがありました。これは、配信実況において「ちゃんとした麻雀の技術を伝えること」の重要性を重視する会長の考えによるものです。

日吉氏自身も、これらの批判を理解した上で、自身の著作「ヒヨシの超実況 これが麻雀実況者の生きる道」の中で、実況の最優先事項は視聴者の感じる「楽しい！」であり、そのためには公正さを欠く実況や、選手の意図とは異なる表現をすることもあると述べています。

経歴と人物像

日吉氏は、2013年10月、日本プロ麻雀連盟が「夏目坂スタジオ」を開設し配信が増加したことをきっかけに、実況者として活動をスタートさせました。同郷の古橋崇志氏からの誘いを受け、実況の道に進んだのです。当時、連盟における実況の第一人者は勝又健志氏でしたが、勝又氏が鳳凰位を獲得したことで実況から離れたため、日吉氏が多くの配信で実況を担当するようになりました。

Mリーグ公式実況への就任は、発足2年目の2019-20シーズンから。2020年には声帯の病気で手術を行い、1ヶ月間の休養を余儀なくされた時期もありましたが、現在も第一線で活躍を続けています。2022年4月からは麻雀格闘俱楽部Extremeにも出演しています。

私生活では、好きな役は四暗刻。幼なじみがK-1選手になったことをきっかけに、総合格闘技PRIDEのファンでもあります。

多様な活動

日吉氏は、Mリーグ公式実況以外にも、AbemaTVの『麻雀最強戦』や『新春オールスター麻雀大会』、ALL STAR Leagueなどの番組にも出演。さらに、ラジオ番組『麻雀普及委員会 Root for M League』にも安藤銀一氏と共に出演するなど、多岐にわたる活動を展開しています。CM出演も経験しており、データ分析企業dataXのCMでは霜降り明星と共演しました。

彼の活躍は、プロ雀士としての高いスキル、そして熱のこもった独特の実況スタイル、そして麻雀をより多くの人に伝えるという強い意志の表れと言えるでしょう。これからも、日吉辰哉氏の活躍から目が離せません。

もう一度検索